税制が時代に追いつかなくなっている!
そのなかで、自動車税でのEVに対する車種を問わない一律の税額については、1999年にはじめられたグリーン税制により、環境性能に優れる新車は税額を減じられ、一方で初度登録から13年を過ぎたクルマは重課とする制度が実施され、今日も続くなかで、環境性能という視点を重視するなら、排出ガスゼロのEVは最低税額でよいことになる。
しかし、もとは贅沢品を所有することに対する税であったことがいまなお意味を持つなら、新車価格や走行性能、あるいは車体寸法などを基準とした税額の差があってしかるべきだろう。それをこれまではエンジン排気量の大小で判断してきたが、EVが市販されるようになって税制が時代に追いつかなくなっているのである。
エコカー減税の対象となっている重量税は、本来、車両の重量の大小で課税されている税であり、もともとの目的は道路建設や、道路の維持管理のためであったわけだから、これがEVなど環境性能に優れた車種を中心に非課税や減税になることのほうが意味は通じない。まして、一充電走行距離の長いEVは大容量のバッテリーを搭載し、車両重量が重くなるのだから、道路の保守管理に余計な負担をしいているはずだ。
つまり、自動車関連の諸税は、揮発油税のように税金にも消費税を上乗せするなど不都合な制度がそのまま継続され、また、それぞれが国税であったり地方税であったりして、国や自治体が確実に徴収できる税を手放したくないという思惑が大きく働いている。
将来的に、EVが普及していったとき、現状のままでは自動車税の税収が大きく減るのは間違いないことであり、何らかの増税案が模索されるだろう。だが、それをただ鵜呑みにするのではなく、財源の使用目的を精査し、納得できる税制へ自動車関連諸税の全体を改めさせる行動が求められることになる。
2050年の脱炭素へ向け、自動車工業会の豊田章男会長は全国550万人の自動車関連就業者の雇用に目を向ける言葉を発したが、さらには、クルマを利用する国内自動車保有台数8000万台の所有者も含めて一致団結し、自動車関連諸税に対する国や自治体への意見を述べる行動につなげていくのが、税を語るうえでの本筋だろう。