交通秩序を維持するためには覆面パトカーは必要という答弁も
そうした建前とは別に、取締り活動の事前告知をするのには保身的な意味もある。
とくに速度自動取締機(いわゆるオービス)については、その行為自体が肖像権を犯しているため事前告知が必須という判例があったこともあり、常設のオービスについては事前告知看板を置くのが基本となっている。
高速道路ではなく、一般道で移動オービスを利用した取締りを行う場合にはそうした事前告知の看板が出ていないという話もあるが、じつは各都道府県の警察ホームページでは、交通取締情報を公開している。安全を啓もうしつつ、それでも違反をする人がいるので取締るというのが基本スタンスとなっている。
とはいえ、交通安全を啓もうすることが主目的であれば、白バイや白黒パトカーによるパトロールを積極的に行えばいい話。刑事捜査・公安捜査はまだしも、交通取締りに覆面パトカーを使う妥当性はないようにも思える。
そうした疑問を解決すべく、ずいぶん前(平成21年3月)に、衆議院で『覆面パトカーをあえて交通捜査に供用すべき何らかの必要性があるのか』という質問がなされたことがある。
その回答となる答弁は、『警察庁としては、運転者に取締りの有無にかかわらず交通関係法令を遵守させ、限られた体制の下で効果的に交通秩序を維持するためには、警察用車両であることを明らかにせずに交通取締りを行う必要があると考えている』というものだった。
たしかに看板などで事前告知していても、速度超過など違反をするドライバーはあとを絶たない。そのためには、覆面パトカーを運用して、警察車両が走っているかもしれないと思わせることも抑止力につながるというのが警察の基本姿勢といえそうだ。