価格でも当然お互いを意識
5)ラインアップ
現行のラインアップをアルトから見てみよう。乗用車はF、L、S。FとLに「スズキ セーフティ サポート」装着車、そしてSにアップグレードパッケージ車がある。ミッションはFが5速MTと5速AGSとなり、それ以外はすべてCVTだ。乗用車で一番安いのはFのFF/5速MTとFF/5速AGSで、86万3500円と、かなり安い。またバンも健在で、モノグレードでミッションと駆動の違いが選べる。FF/5速MTで、73万7000円とさらに安い。
ミラは厳密に言うと、ミライースへと移行していて、燃費優先だけでなく、シンブルなベーシック軽としてオシャレ感も最近、CMなどでアピールしている。それだけにグレード名も下からB、B “SA III”、L、L “SA III”、X “SA III”、G “SA III”となる。ミッションはCVTのみで、FFと4WDがそれぞれに用意されている。価格は一番安いのは当然、BのFFで86万200円と、ライバルであるアルトを意識した設定だ。
逆に高いのはアルトがSのアップグレードパッケージ車の4WDで、129万5800円となり、ミライースはG “SA III”の4WDで、136万4000円とアルトよりも高い。またミライースの一部グレードは北海道地区価格として1万6500円高となる。さらにミライースには商用バンがなく、アルトバンが日本で最後のボンバンだ。
6)燃費
ミライースはもともと燃費技術のイーステクノロジーがウリだっただけに、最高値は35.2km/L(JC08モード)で、一方のアルトはエネチャージ搭載グレードもあって最高値は32.0km/Lとわずかながら、差がある。
ただ、どちらも30km/Lを超えているのは立派だ。ただ、4WDだとミライースは32.2km/Lで、アルトは30km/Lを割り、29.6km/Lとなる。
7)エンジン
どちらもエンジンは一種だけと思いきや、アルトはVVT付きとなしがある。付かないのは5速MT車で、VVT付きの52馬力に対して、49馬力だ。
ミラはすべてVVTを備え、49馬力。アルトのほうが馬力的には上と言っていい。
8)ディメンション
制限があるだけに、全長と全幅は同じ。全高だけ、ミライースのほうが少しだけ高い。だから室内も同じようなものかというと、室内長はアルトのほうが上で、幅と高さはミライースのほうが大きい。
どの差も数センチで大きなものではないが、開発陣の涙ぐましい努力がうかがえる。
9)安全性
アルトは「スズキ セーフティ サポート」、ミライースは「スマートアシストIII」で、内容的にはどちらも充実している。ただ、安価な実用車だけに、両方ともに非装備グレードがある。
全体的な印象としてはどちらも同じレベルといったところで、大きなところで言えば、アルトは姿勢制御(スズキはESP)だけで、トラクションコントロールはなく、ミライースには全グレードに両方とも用意されていることだろう。