実際の風景に案内を表示する画期的機能! 新型SクラスがOP採用した「ARナビ」の実用度とは (1/2ページ)

ヘッドアップディスプレイは進路案内を実際の風景に重ねて表示する

 メルセデス・ベンツはフラッグシップモデル、新型Sクラスに搭載するヘッドアップディスプレイにAR(Augmented Reality=拡張現実)」を使ったナビ機能を搭載した。インフォテイメントシステム「MBUX」に含まれている新機能で、ルートガイド中の方角や距離、車速などの情報をより直感的にドライバーへ情報を伝えることが可能となる。

 ヘッドアップディスプレイは、走行に必要な情報をフロントウインドウに重ねて表示するため、ドライバーが視線を移動することなく必要な情報を得られるのが最大のメリットだ。これまでも上級車を中心に多くの搭載例があり、新型Sクラスではそこに進路案内を実際の風景に重ねて表示するようにした。これは純正ナビゲーションとしては世界初の事例だという。

 メルセデスベンツによれば、ヘッドアップディスプレイは10m先に仮想表示するように設定されており、ドライバーの視界に自然に入ってくる位置に表示されるという。ナビゲーションとしてのガイドをここで表示し、そこには分岐点での進行方向や走行すべき車線も案内されている。さらに走行中の速度や制限速度、ADAS系の表示も行われていた。その表示はしっかり整理されたもので、焦点をとくに合わせることなくスムースに捉えることができるのはこのヘッドアップディスプレイの良いところと言えよう。

 じつは、ARを使ってルートガイドをする機能は、市販ナビゲーションなどで少なからず存在した。よく知られているのがパイオニアのサイバーナビが採用した「AR HUDビュー」だ。コンバイナーを備えた専用ユニットをルーフに装着し、ルートガイドをフロントウインドウ越しに見える風景と重ねて表示する。表示をレーザーによって描くため、昼夜を問わず高い解像度を特徴とし、地名やアイコンなどもフルカラーで鮮明に映し出していた。

 ただ、後付けで対応したため、ルーフに大きなユニットがぶら下がる格好となり、その状態はお世辞にもスマートとは言えなかった。その点で新型Sクラスに搭載したAR機能は、フルカラー液晶を使ったヘッドアップディスプレイにこれを組み込んだ。そのため、従来のヘッドアップディスプレイとほぼ同じシステムでこの表示を可能にした。その意味でも高級車に相応しい新装備として捉えても良いだろう。


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