スバルのAWDが人知れず雪道の運転をサポート!
走行シーンを路面に注目して紹介すると、乾燥舗装路から雪解け水によって水深すら感じるウエット路、シャーベットに圧雪にところどころ雪の下がアイスバーンになっているところもあるような降雪地で高速走行や山間部を走行。XVはすべてのモデルにAWD(4WD)を採用しており、結果から先にお伝えすると生活道路やレジャー目的で向かう山間部の除雪が行き届いた走行シーンでは少しの不安を抱くことなく、初めて訪れる町も自然の風景のなかでもそれらを楽しみながら試乗することができました。
運転席に座りポジションを合せると、Aピラーに傾斜のついた前方視界ではダッシュボードの奥行きが視界に入るも左右ガラスの視界の良好さも併せて、視界の抜けの良さが感じられる。スバルの安全哲学にある死角を減らし小さなお子さんも発見しやすい車両設計がこのデザインのなかにも活かされているのがわかります。
XVには2種類の動力、1.6リッター水平対向エンジンと2リッター水平対向エンジン+モーターを組み合わせたマイルドハイブリッドのe-BOXERがあり、どちらもリニアトロニック(無段変速CVT)を採用しており、今回はe-BOXERを搭載するモデルを試乗。
e-BOXERはエンジン駆動をベースとしつつも40km/h以下くらいではEV走行もし、さらに加速すればエンジンとモーターを制御しながら走行をするのですが、モーターは主にアシストがお仕事。前述のようにEV走行も可能であることから燃費の向上にも繋がってはいるけれど、どちらかと言えば走行性能にこだわるスバルのリニアなアクセルの踏み足しやグッと踏み込んだ際の加速性能など、モーターをターボのように活かし、とにかく思いどおり、気持ちのいい加速が得られる点での貢献度が大きいという印象を抱きます。
無段変速のトランスミッションの加速過程で速度やフィーリングがいまひとつ合わないネガもほとんど払拭されている。これはリニアトロニックの改良の成果もあるのだろうけれど、モーターという電気的な駆動の加勢が一層、XVの走行にメリハリの効いたキビキビ感を与えてくれているのも間違いない。
滑りやすい路面でのコントロール性も申し分なし。少しだけ重めのステアリングフィールがさまざまな路面状況を手応えの変化として伝えてくれます。足腰を上手に使い舗装路でのコーナリング性能の高さも特徴のXVは、冬道でのインフォメーションとコミュニケーションスキルも高く、安心感と頼もしさを与えてくれます。
その点で言えばやはりAWDのインテリジェントぶりが際立っていたのだと思います。“思う”というのがポイントで、ドライバーは路面の変化をいつも以上に常にウォッチしている必要があった今回、コンディションが滑りやすい方向、もしくは不安定な場面ではより丁寧な操作を心がけてはいましたが、それ以外はXVが人知れずサポートしていたに違いないのです。タイヤの性能の貢献度も大きいとは思うのですが、「そう言えば横滑り防止装置のピカピカ(点灯)をあまり見ていないな」という走行安定ぶり。坂道発進もワインディング路の下りでも速度こそもちろん落として走るものの、やはり安定感のある走りは期待どおりでした。
スバルのシンメトリカルAWDは水平対向エンジンと左右対称のパワートレインで構成されるまさにこのエンジンだからこそ実現可能なスバル独自のAWDシステム。走行状況に応じたタイヤを転がす=駆動するためのトルクを前後輪に配分でき、これが重量バランスに優れているときてる。これにリニアなトルクを伝えやすい動力性能との良好な連携が相まって、この安心感や頼もしさ、雪道の運転が楽しいとさえ思える走りを実現しているというワケなのです。
そんなXVにはもうひとつ、ヒルディセントコントロール付「X-MODE」という助っ人が採用されています。これは“スノー/ダート”と“ディープ・スノー/マッド”の2モードがあり、20km/h以下で作動。登坂路での発進や深い雪や泥濘地での脱出やよほどコンディションの悪い状況での走行を助けてくれる機能としてこの2モードの用意があるという点でも、XVが都会的(見た目)なクロスオーバーモデルでないことがわかるというもの。正直に言って、1800mmという車幅のサイズ感も個人的には安心感がありました。雪で枝が道路に倒れかかっていたり、雪壁でやや車幅が狭まっているところでのすれ違いとか、慣れない土地では予想しにくい状況もあります。そんなときにXVの車両サイズと着座位置の高さ、視界の良さを頼もしさとして実感できたのです。
ちなみに、滑りやすい路面で使うことはなかったけれど、e-BOXER搭載モデルにはスポーティなドライビングをより楽しみやすい機能が搭載されているのでご紹介しておきます。アダプティブな変速制御を行う「e-Active Shift Control」の採用がソレ。SI-DRIVEのスポーツモードを選ぶと加速性能が向上するだけでなく、コーナリング中も高い回転数を維持し、コーナーを立ち上がる際にはモーターアシストも伴い理想的な力強い加速が得られ、まるでシフトチェンジをせずとも理想のギヤでコーナリング走行が楽しめるような制御を可能にしています。ますますステアリングの脇に在るパドルシフトを使いたくなる走行も、このオシャレ番長が兼ね備えているのです。