【試乗】欧州ナンバーワンSUVは伊達じゃない! 新型キャプチャーは国産車を脅かす中身だった (1/2ページ)

荷室の広さも装備も圧巻の充実っぷり

 日本で売れてるコンパクトSUVと言えば、やっぱり国産車が強いわけですが、世界を見るとちょっと事情が違います。2020年、欧州で販売されたすべてのSUVのなかでもっとも売れたのは、オシャレなフレンチコンパクトSUV、ルノー・キャプチャー。初代が2013年に登場して以来、2019年までで累計170万台以上が販売されたという、大ヒットモデルとなっているんです。

 そのキャプチャーがフルモデルチェンジを果たし、いよいよ日本上陸! 2月25日から販売がスタートすることとなりました。欧州No.1SUVは、いったいどんな進化を遂げたのか。さっそく試乗してみました。

 新型キャプチャーは、デザインのみならずプラットフォーム、パワートレインまで一新しています。初対面の印象では、これまでコロンとしたフレンドリーな雰囲気が強かったデザインが、モダンで洗練されたなかにもSUVらしいタフさと存在感を強め、ワイドになって地面にガッシリと踏ん張るようなイメージに。実際のボディサイズでは、全長が+95mmの4230mm、全幅が+15mmの1795mm、全高が+5mmの1590mmということで、それほど横方向には拡大していないので、デザインの妙なのだなと感じます。

 そんなデザインは今回、「フレンチデザイン」をとても強調しているのだそう。アスリートの筋肉のような躍動感、エレガントな曲線による官能性、そして都会の町並みに似合う洗練。こうした直線と曲線の絶妙な融合こそがフレンチデザインの美しさということで、全体的なプレミアム感もすごくアップしています。

 ルーフがブラックとなるツートーンでは、まるでルーフがフローティングしているように錯覚させ、フロントのヘッドライトとリヤのテールランプには、現代ルノーのアイコン的モチーフとなっているCシェイプを表現。もちろんライトはフルLEDで、ヘッドライトの下にはホイールからの乱気流を抑える役割を果たすエアディフレクターもアクセントになっています。デザインの中にそうした機能を持たせるというのも、ルノーの言うフレンチデザインなのです。

 さらに、知覚品質や先進技術といった部分では、キャプチャーが属するBセグメントではなく、1つ上のCセグメントをベンチマークとしているとのこと。それは外観だけでなくインテリアのデザインや触感、はたまた走りの質感や静粛性など、目に見えない部分の品質にも相当にこだわって開発されているようです。

 さて、ドアを開けて乗り込んでみると、ルノーが「インテリア革命」だと呼ぶスマートな空間に感心。センターパネルなどがドライバーに向けて配置され、ルノーの伝統でもある人間工学に基づく最新のインテリアに仕上がっています。

 とくにこだわったのは、運転席と助手席を仕切るように張り出す「フライングセンターコンソール」。これはスマートフォンがちょうど置きやすい収納トレイと、なるべくドライバーが手を自然に伸ばして届きやすい位置にシフトレバーを置くためのもの。そのレバーは、従来より軽く正確な操作が可能となる、シフト・バイ・ワイヤー採用の「e-シフター」となっています。

 そしてルノーファンなら必ず期待してしまうのが、シートの座り心地。新型は驚くことに、先代より薄型のシートを採用したとのこと。これは、ドライバーの操作性を第一に考慮したのが大きな理由で、先代は厚みがありすぎてハンドル操作などの際に身体に当たってしまうことがあったので、それを改善。確かに、サイドサポートの張り出しなどがやや控えめになり、座面長は+20mm、横幅も+15mmとゆったりしたぶん、身体の自由度が上がったと感じます。薄型になっても座り心地にはふっくらとしたクッション性を感じるし、ロングドライブの快適性も考えられているというから、これがルノーが出した最先端シートの答えだということなのでしょう。

 続いて後席です。新型キャプチャーはホイールベースが+35mmの2640mmと大きく延び、そのおかげで室内空間がかなり広くなりました。後席のニールームは+17mmの221mmに広がり、横幅も+40mm。大人が並んでもゆったりと座れます。しかも、一体式ではありますが、16cmの前後スライド機能が付きました。後席用のエアコンアウトレットも、USBポートも2個装備されて、この後席の快適性アップは国産コンパクトSUVもうかうかしてられないゾ、と思うほどです。

 また、ラゲッジは後席を最前端にした状態で536リットルの容量を確保。ライバルの多くが400リットル台なので、これはかなりのアドバンテージです。6:4分割で後席をパタンと倒せば、最大1235リットルの大きなスペースになり、フロアの高さが変えられるダブルフロアシステムもあるので、使い勝手は優秀です。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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