なかには500万円前後の超貴重な個体も!
リアルタイムで体験した方ならわかってもらえるだろうが、スーパーカーブームは熱狂以上のものがあった。スーパーカーショーは各地で押せや押せやの人だかりで、デパートの屋上でも客寄せでランボルギーニ・カウンタックを置いたりしていた。街中で見かければ、小学生が追いかけ回して、社会問題にもなった。その手にはカメラが握られ、これをきっかけにして写真を撮ることを覚え、これがブルートレインブームにつながっていっただけでなく、自動車カメラマンのなかにはその流れでプロになった人もいたりする。
もちろんクルマ自体の注目というか、スーパーカーとはなんぞやという定義はどこへやら、リトラクタブルであればなんでもよかったのが、次第に輸入車全般に広がっていた感じもあった。輸入車そのものが今とは比べ物にならないほど非常に珍しかったので、仕方がない面もあったが、筆者も知り合いのリンカーン・コンチネンタル・マークV(ヘッドライトカバーが付いていた)や、近所のシトロエンに乗せてもらってご満悦だった。もちろん今思えばスーパーカーでもなんでもないが……。
そんな裾野の広がりはスーパーカー内部でも起きていて、ランボルギーニやマセラティを中心にして、性能がそこそこだったり、デザインや生い立ちに難あり的なマイナーなモデルが登場している。当時はうんちくネタになったし、今見れば、超個性的で立派なスーパーカーな気がするが、調べてみると、価格が安い。旧車全般が高騰と言われているのに、1000万円を切る予算で買えるものが結構あるのは驚くばかり。今回はお手軽スーパーカーたちを紹介しよう。
ただ、もちろん安いのには理由はあって、そもそもの程度が悪いだけでなく、パーツの入手が困難、直せるところがあまりないなどが考えられるので、安易に飛びつくのは超自己責任といっていいだろう。あと個体数が少なすぎて、市場価格ははっきりと言えないので悪しからず。どれも1000万円を切って、なかには500万円前後というものもあったりする。あとは個体数が少なすぎて、市場価格ははっきりと言えないこともあるので悪しからず。
1)マセラティ・メラク
ボーラの兄弟車というか、廉価版として登場したのが、メラク。ボーラはスーパーカーブームでも人気だったが、デザインはこちらもジウジアーロで、リヤがノッチバックになっているのが特徴的ながら、スタイルはまさにスーパーカーだ。ただし、こちらは2+2の4人乗り。スーパーカーで4人乗りというのはイメージ的にもハンディになるだけに、価格はかなり安い。しかも初期の中身はシトロエン製でパワーもあまりなし。途中からシトロエンとの関係が切れ、ハイパフォーマンス版のメラクSSが登場するが、こちらは程度が良ければ1000万円を出ることもある。
2)デトマソ・パンテーラ
こちらも人気もので、パンテーラという響きだけでもワクワクする人は多いのではないだろうか。ただ、生い立ちが複雑というか、エンジンはフォードのV8だったりするなど、イタリアのなかでも異端児的な存在だ。この点がスーパーカーブームの頃は魅力だったりしたのが、現在の価格を見てみると1000万円前後で、なかには切るものもある。
3)ポルシェ924/944/928
いわゆるFRポルシェたち。911のイメージが強かったところに、1970年代から新世代のポルシェとして続々と登場してきた。とくに928は911に代わるとされ、「これが代わりになるのか」と驚いたものである。
エンジンは924と944が直4で、排気量はいろいろとあるものの、924の2リッターは日本仕様でたったの100馬力。944は1983年登場で比較的新しいこともあって、2.5リッターで155馬力などだった。ただし928についてはV8を積んだフラッグシップモデルとされ、4.5リッターから230馬力を発揮した。
直4モデルは経営難のためにVWと提携していた時期ということもあって、ポルシェらしさに欠ける部分も多く、928はヒットにはなったが、やはりFRということで人気薄になっていった。それゆえ、現在でも924と928は200万円から500万円ぐらい。928でも500万円ぐらいが相場になっている。