専用車はJPNのみ! 日産NV200タクシーが生産終了になったワケ (2/2ページ)

かつては各メーカーに多くのタクシー専用車が存在した

 かつて日本のタクシー車両といえば、トヨタ・クラウン、マークⅡ、コロナ、日産セドリック、クルー、ブルーバード、マツダ・ルーチェ、カスタムキャブ、三菱ギャランなどなど、じつに多くの車種で専用車をラインナップしていた。筆者がとくに印象的だったのは、FRコロナタクシーと、ルーチェタクシー(5代目)。

 7代目までタクシー車両をラインアップしていたコロナ。7代目(最後のFR)コロナタクシーではモデル途中(一般乗用車仕様はすでに8代目FFとなっていた)で、ほぼすべての外板を変更する大規模な改良を実施した。これに乗りたくても、なかなか機会がなかったのだが、名古屋駅の乗り場で数台ずらすと乗れる機会に恵まれ、無事乗れた感動をいまも覚えている。

 ルーチェタクシーは仕事などで終電帰りとなり、最寄りのターミナル駅からタクシーで帰る際に、1社だけルーチェを使っていて、たまにそれにあたるとうれしかった。ペラペラといった印象の残る薄いドアによりかかりながら、運転士さんがマニュアルコラムシフトを操作する様子を見るのが至極のひと時であった。

 いまは、タクシー車両規格が撤廃され、なんでもタクシーに使えるようになったので、わざわざタクシー規格に合わせた専用車が不要となったのはマニアとしては寂しいところ。

 ちなみに今回のNV200タクシーの生産終了と同時にe-NV200も生産終了となったとのこと。日本も遅ればせながら、“カーボンニュートラル”なる言葉が頻繁に世の中で使われるようになり、車両電動化もいまよりもスピーディに進んで行きそうな気配がしてきた。

 そのなかで、日系ブランドでは貴重な純電動車リーフをラインアップしてきた日産にとっては、純電動タクシー車両で業界をリードできたかもしれなかっただけに、タクシー車両をこのタイミングで辞めたのは少々残念に思えてならない(くれぐれもタクシー車両のラインアップ終了ではないことを祈りたい)。

 純電動化を考えると日本国内のタクシーやバスと言った公共輸送機関車両は、将来的にはコスト(車両価格など)を考えれば、やはり中華系など海外勢になってしまうのだろうか。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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