ポルシェはフォルクスワーゲンのEV戦略の影響も
こうしたなかで、ボルシェがEV化を積極的に推進するのは、ワケがある。フォルクスワーゲングループは、2015年に発覚したディーゼル不正問題で世界市場でブランドに対する大きなダメージを負った。
そこからのV字回復をかなり意識し、2016年の中期経営計画で「EVシフト」を打ち出した。これに対して、多くの自動車メーカーからは「電動化は今後、段階的に進むが一気にEV化は時期尚早だ」という見方が強かった。
フォルクスワーゲングループとしては、EV化を進める上で大きな課題である車両のコスト削減のため、フォルクスワーゲン、アウディ、セアト、シュコダ、ランボルギーニ、ベントレー、そしてポルシェなどグループ傘下ブランドで量産効果を狙った電動化戦略を推し進めてきた。
そのなかで、ポルシェのEVでは800Vの高電圧化や、出力350kW(日本では150kW)の大出力型の急速充電システムを開発を急いだ。
こうしてポルシェを含むフォルクスワーゲングループのEV強化が進むなか、2010年代後半から2020年に入り、世界の経済界で、ESG投資(環境、社会性、ガバナンスを考慮した企業への投資)への注目が一気に高まり、自動車メーカー各社がEVの早期量産化を目指すという大きなトレンド変化が生じている。エコという概念が変わっていくなか、スーパースポーツEVの在り方も変わっていく。