スカイラインとレヴォーグの「手放し運転」は本当に使える? 実際に公道で試してみた (2/2ページ)

アイサイトXは渋滞時に限ったハンズオフ機能だ

 一方、新型レヴォーグに搭載されたアイサイトXの「手放し」運転は、新型ステレオカメラと前後左右4カ所に配置されたレーダー、リヤソナー、電動ブレーキブースターによって、0〜50km/hで可能となる「渋滞時ハンズオフアシスト」となる。

 そう、高速道路での渋滞時に役立つハンズオフ機能に限定しているのである。“渋滞”というキーワードがあるぐらいで、一般的な渋滞追従機能&停止保持機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)では、停止後、時間が経つとアクセルやスイッチ操作によってACC機能を再開させ、発進しなくてはならないのと違い、アイサイトXでではペダル、スイッチ操作不要で自動再発進してくれるところが、先進的かつ便利なポイントだ。

 また、アイサイトXは3D高精度地図ユニット、GPSのほか、準天頂衛星による運転支援が行われるため、プロパイロット2.0同様に自動車専用道路でのカーブ、料金所手前で、速度制御(カーブでは進入するカーブの曲率に合わせた速度、料金所では安全に通過できる速度)も行ってくれる。つまり、アイサイトXを一度セットしてしまえば、自動車専用道路では追加の操作不要ということだ。

 実際に、東京~軽井沢の往復でアイサイトXを試した経験があるのだが、途中、首都高の渋滞に「運よく」巻き込まれ、「渋滞ハンズオフ」機能を体験。ここで痛感したのは、臆病者のボクとしては、「手放し」運転はこのぐらいまでの速度域だと緊張、不安なく使える、という事実だった。高速道路で約50km/hまで……という点に物足りなさを感じるのは当然だが、渋滞中、前後左右にクルマがひしめくシチュエーションでは、停止から約50km/hまでの加速でさえけっこうな加速度を伴い、「手放し」運転はこれぐらいの速度域で十分……と、個人的に感じたのも本当なのである。

「渋滞ハンズオフ」機能は前をしっかり見ていればOK(カメラが監視している/濃色のマスクは認識できない可能性があるので要注意)で、それこそペットボトルの蓋を開ける、鼻をかむ……といったことも、“安全に”両手で行える。しかし、アイサイトXで「手放し」運転ができること以上に感心したのが、「渋滞ハンズオフ」中の減速、加速、追従性能だった(ハンズオフ機能以外のアイサイトX作動シーンでも同様!!)。じつにドライバーの意図をくんだ、スムーズかつ頼りがいある制御に終始し、思わずブレーキを踏んでしまう、アクセルを踏み増したくなる!!といった、緊張し、歯がゆさある場面など皆無だったのである。

 また、約50km/h以下でのウインカー操作による「手放し」車線変更が可能な「アクティブレーンチェンジアシスト」も超便利だった(約50km/h以上ではステアリングに手を添えている必要があるが、作動は完璧)。アイサイトXのすべての機能が、12.3インチのフル液晶メーター内に的確に表示され、じつにわかりやすいので安心できる。

 この自動レーンチェンジは、終始、自車左右後方の車両を検知してくれているため、左右どちらのレーンに車線変更できるのかが一目瞭然。レーンチェンジ可能なレーンが表示(車線が青く表示される)されれば、ウインカーを最後まできっちり倒すことで自動レーンチェンジ開始。完了すれば、ウインカーは自動で戻る。その際のクルマの動きにしても、ベテランドライバーのスムースさ(揺れ戻し、おつりなし)と言っていいから文句なしなのである。

 このように、スカイラインのプロパイロット2.0とレヴォーグのアイサイトXでは、「手放し」運転が可能な条件、上限速度、価格(プロパイロット2.0は約50万円、アイサイトXの正味価格は約50km/h以下の作動としてコストダウンを図った結果、約11~12万円程度)こそ異なるものの、慣れればその機能の便利さに感動できること間違いなし。とはいえ、個人的にその便利さをより”安心して”使えたのは、混雑した高速道路上という条件下に限れば、低速域の渋滞時だったのも事実なのだが……。

 いずれにしても将来、「手放し」(自動)運転があたりまえになる時代が到来することになる。その「手放し」運転を、部分的とはいえ、いち早く体験できるというメリットが、プロパイロット2.0と、より身近な存在のアイサイトXにあるということだ。

※2月25日 11:50 一部記事内容を修正しました。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
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スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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