まとめ「カセットテープ」が男女の仲を左右した! オーディオが重要すぎた昭和のドライブデートとは (1/2ページ)

お気に入りの曲を選曲するのがドライブデートのキモだった

 今、クルマのなかで音楽を聴くとすれば、スマホとディスプレーオーディオをBluetooth接続したり、お気に入りの音楽をデータ化したSDカードをナビゲーションにセットしたり、FMラジオを聴くというのが一般的だろう。最近ではCDチェンジャー、MDなんていうのも過去のものになってしまった。

 では、昭和の時代はどうだったのか。昭和生まれのボクが最初に愛車を手に入れたころは、ちょうど、8トラック(知らないですよね)から、カセットテープに移行する時代で、1976年12月に納車された1977年型いすゞ117クーペは、はじめてカセットテープ用のオーディオが搭載されていたのである。

 平成生まれの人にとって、おそらく馴染みのないカセットテープだが、1979年(昭和54年)にソニーから発売されたウォークマンの爆発的ヒットもあって、当時、音楽はカセットテープで聴くのが当たり前だったのである。じつは2018年ごろからヨーロッパでカセットテープの需要が再燃。静かなブームになっていたりする。

 さて、ボクを含む当時の若者のデートはクルマが必須。その車内で2人の距離を縮めてくれたのが、カセットテープに編集された音楽だったのだ。手のひらサイズで磁器テープを使ったカセットテープは繰り返し録音が可能で、レコードからお気に入りの曲をピックアップし、「マイベスト」的につなげることができた。録音時間は30分、60分、90分、120分などがあったが、車内で使う場合、60分、90分が一般的だった。

 この時代の車内で聴く音楽は、だから選曲のセンスが求められた。自身がDJみたいなもので、どの曲からスタートし、どうつないで、どう終わるか……達人は四季、天気、シチュエーション別に何本も用意していたはずだ。

 お目当ての子との最初のドライブデートでは、まさに車内の雰囲気を盛り上げる、オーディオ、カセットテープの選曲が成否を決定づけたと言ってもいい。

 ボクはと言えば、今でも大好きなユーミンやハイファイセット(ボクがグレープ、ハイファイセットと同じバードコーポレーションという事務所に所属して音楽をやっていた時代だ)、大橋純子さんなどの邦楽がメイン。それが刺されば大成功! だが、洋楽オンリーの女の子の場合、先行きがあやしくなったのも本当だ。「この人と私では、音楽の趣味がまったく違う。付き合う対象外だわ」ということなのだろう。それぐらい、昭和後期の男女関係は、音楽、車内のオーディオが大きく影響していたと言っていい(私見ですが)。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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