「毒」は毒物・劇物に指定されている物質を示している
高圧ガスなど、ナンバープレートとは別に車体にプレートを付けているのを見かける。そのなかで強烈なのが「毒」という表示。もちろん毒を積んでいるのはわかるのだが、そもそもなにを積んでいるのだろうか?
毒という言葉自体はよく聞くけど、実際に見たことがあるかというとないし、毒殺というと映画やドラマの中の出来事だ。響きだけが一人歩きしている気もするが、クルマに積んでいる毒とはなにか、調べてみた。
まず毒の規定からいくと、これはちゃんとあって毒物及び劇物取締法で、毒物・劇物に指定されている物質のことを指す。具体的には塩素やニトロベンゼン、黄リンなどだが、基本的には見慣れない化学物質がほとんど。なかには木の実や、社会問題になったトルエン、そして燃料電池の燃料にもなるメタノールなども劇物に含まれる。
この毒物・劇物に指定されているものを最大積載量5000kg以上のトラックに積む際に掲示しなければならないのが「毒」という表示。30センチ四方の黒い板に白い文字で入れるように指定もされている。そのほか、積んでいる毒物・劇物の名称と成分、含量も表示する必要がある。また事故が起きた場合にどう対処すればいいのかを記した書類と保護用具も積まなくてはならない。運転者も大型などの運転免許に加えて、毒物劇物取扱責任者の資格も必要だ(同乗者が持っていてもOK)。
そしてもうひとつ、ひと文字で表示されているのが「危」だ。これはタンクローリーに付いているので、「毒」よりもよく見かけるもので、消防法の危険物を積んでいる場合に表示される。具体的には消防法で定める危険物で、ガソリンといった引火性液体や可燃性固体に加えて、可燃物の燃焼を促進する性質の酸化性液体なども含まれている。
こちらも運転免許以外に、危険物取扱者の資格が必要なのだが、甲乙丙種があって、すべて扱える「甲種」、特定のものだけの「乙種」、乙4類なかでガソリンや灯油に限定した「丙種」がある。つまりガソリンスタンドに燃料を運ぶには3つの資格のどれかを持っている必要となるわけだ。
「危」の表示については、運ぶものによってそれぞれ指定数量が決まっていて、それを超える際には、消防法の規定で掲示するように定められている。