身体能力の衰えを考えても60歳がひとつの目安
加齢による身体能力の衰えは、視覚能力の低下、筋力や柔軟性の低下、反射機能・認知判断力の低下、記憶力の低下などさまざまな要素が考えられるが、とくに問題なのは視覚機能の低下。中高年になると視力も年々低下していくが、視野もどんどん狭まっていく。視野は成人の場合、約200度の広さがあるのに、高齢者は約160度にまで低下するとされている。しかも、見えている視野の範囲は約160度でも、明瞭に見えている視野の範囲は約4〜20度で、物や色、形が認識できる視野の範囲は、約1度〜2度程度しかないとのこと。
さらに、動体視力も高齢者になると低下する。クルマの運転で重要になる動体視力は、一般的に20歳前後がピークで、0.8前後ある。それが徐々に衰え始め、56歳ごろから急激に低下し、60歳では0.6前後、65歳を過ぎると0.3程度、75歳では0.1ほどになってしまう……。(そのため、70歳以上のドライバーは免許更新の際に動体視力検査を実施することになっている)
こうした諸条件を見ていくと、新たに免許習得を目指すのなら、60歳までとするのはかなり妥当な線だろう。
もしも現在は都会暮らしでクルマも免許も不要だが、リタイヤしたあとは、田舎で暮らしたいなどと考えている人がいたとしたら、還暦までには免許を取って、ドライバーデビューを果たしておくことをおすすめする。