有名なドライビングシミュレーターの影響も少なからずある!?
しかし、徐々にGTにグランドツーリングというイメージが消えていったのは、1997年に誕生したプレイステーションのソフト「GT(グランツーリスモ)」シリーズの影響も無視できないのではないだろうか。
ドライビング&カーライフシミュレーターとして、リアルなスポーツドライビングを楽しめる「GT」シリーズは、実車からサンプリングした排気音などリアリティにこだわった作りで、多くのマニアを魅了した。そして「GT」シリーズの人気が高まるにつれ、クルマ好きのなかで「GT」といえば、このプレイステーションのソフトを指すようになっていく。
もちろん、タイトルの元ネタとった「グランツーリスモ」という言葉には、スポーティなハンドリングとロングツーリング性能を併せ持つハイパフォーマンスカーという意味があり、そこから名前が付けられたことは明らかだが、GTシリーズが売れていくなかで、その言葉にはレース(サーキット走行)のイメージが強くなっていったのは否めない。
クルマの名前やグレード名は、多くのマーケット調査から決められている。そして2000年代から「GT」という響きには、ドライビング&カーライフシミュレーターのイメージが強くなっていった。そのため、伝統的にGTという名前を採用しているクルマを除くと、新たにGTという名前をつけるのは得策ではないと考えたとしても、それは納得できる。
というわけで、伝統的にGTというグレード名を用意してきた日産スカイライン、そしてGTグレードで一世を風靡したレガシィの後継であるレヴォーグくらいにしか、そのアルファベットは残っていないという状況になってしまったのだ。
ドライビングシミュレーターの「グランツーリスモ」が、日本車のグレード名から「GT」を減らしてしまったという主張は荒唐無稽かもしれないが、時系列で考えるとまったく関係ないとも言い切れない気もするのだが、いかがだろうか。