再生可能エネルギーへの依存は危険
また、脱炭素の発電においても、気象が不安定な現在でさえ、もはや再生可能エネルギーに依存することは危険である。この冬の北陸や上越地方での豪雪で電力不足が懸念された要因の一つは、太陽光発電が機能しなくなったためだ。これは風力も同じで、数年前に千葉県で大停電を起こしたような想定を超える台風が来たら、風力発電も機能しなくなる可能性がある。実際、風力発電機が根元から倒れた例もある。
結局、脱炭素を実現するには、発電も原子力発電に依存しなければ実現できないのである。ではその危険性はどう回避するか。
既存の軽水炉ではかなり壁が高い。それに対し、第4世代といわれる新しい原子力発電は安全性が改善されている。たとえばトリウム熔融塩炉は、ウランやプルトニウムの固体燃料を使う現在の軽水炉と違い、液体燃料を使うことによってメルトダウンがないのである。
人が、誠実さをもって安全運転に取り組むことを前提に、より安全な原子力発電へも目を向けることをしなければ、EV化への懸念以前に、自然災害によって暮らしが立ち行かなくなるという、究極の二者択一のときを我々は迎えるのである。