MT車の販売比率はわずか1%程度! それでも新規免許取得者は半数が「非AT限定」! 需要はどこにある? (2/2ページ)

電動車化時代にMTは消えるだろう

 そのほか旧車に乗ろうと思うとMTに乗れないと、そもそも憧れのクルマを運転できないというケースもあるだろう。たとえば、R32~R34のスカイラインGT-RにはATが用意されていない。ほかにも1990年代のモデルでいっても、ホンダ・ビートはMTオンリーの設定だった。

 さらに1970年代以前となるとMT比率が高いため、旧車に憧れがあるというのであればAT限定免許を選んでしまうと後悔することになるだろうが、正直そうした趣味の人が多いとは思えず、新規に運転免許を取得する人の半数近くがいまだにMTも乗れる運転免許を取得するというのは、ちょっと不思議な傾向だ。

 なにしろ、いま自動車業界は100年に一度の大変革期で、クルマの電動化が進んでいるのがご存じのとおり。簡易的なマイルドハイブリッドを除くと、電動車両でMTを搭載するというのは考えづらく、将来的にはMTが消滅する方向にいっているのは間違いないからだ。

 また、スポーツカーにしてもR35日産GT-RはATであるし、ハイブリッドスポーツカーのホンダNSXも2ペダルとなっている。トヨタのGRスープラもATの設定しかない。MTに乗れないからスポーツドライブが楽しめないという時代でもない。

 とはいえ、マツダ・ロードスターやホンダS660といったリヤ駆動の6速MTを積んだライトウェイトスポーツカーが持つ、クルマを操ることで人馬一体感を味わえるという魅力には、趣味性という意味では十分な価値がある。最近ではホンダがN-ONEに軽自動車として初の「FF・ターボ・6速MT」というパッケージを実現した。そうした趣味性を楽しむものとしてMTが残っている限り、MTを乗れる運転免許を取っておくことは、「クルマを趣味として楽しもう」という人にとっては十分な価値ある資格といえるだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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