自ら乗ってて自分で疑問! 日本にはあらゆるクルマが揃っているのに「輸入車」に乗るワケ (2/2ページ)

クルマのつくり方も国産車とは異なる!

4)高速走行や長距離での安心感・快適性

 4つ目は、高速走行やロングドライブでの安心感・快適性。日本の高速道路は長い間、100km/hが上限となっており、ようやく120km/hの区間が出てきた状況で、世界の自動車先進国からするとややスピード控えめな印象です。

 有名なのは、ドイツのアウトバーン(高速道路)には今も速度無制限の区間があるということ。そのためドイツをはじめとするヨーロッパ車は昔から、高速走行での安全性や快適性を必須事項としてクルマの開発をしてきた経緯があります。日本車も今では欧米でたくさんの台数を売るため、強豪となるヨーロッパ車に負けないよう、そうした性能を高めていますが、厄介なのは同じ車種でも、欧州で売る個体と日本で売る個体では、サスペンションのセッティングを変えてあったり、タイヤの銘柄が違ったりと、日本仕様と呼ばれる状態に変わっていることが多いのです。

 また、日本車は180km/hでリミッターが効くようになっていますが、輸入車の多くにはリミッターはなく、出そうと思えばメーターに表示される最高速度近くまで出るようになっています。「日本の道でそんなにスピードを出せる所はない」といわれてしまえばそれまでなのですが、サーキットなどクローズドの場所では速度の取り締まりはありませんので、出すことも可能。実際にはそんなにスピードは出さないけど、「いざとなれば出せる」という気分の問題だと言う人もいます。

5)シートの快適性

 5つ目は、シートの快適性。これは高速走行やロングドライブの快適性にも関係してきますが、とくに腰痛持ちの方にはなぜかヨーロッパ車のシートが好評なのです。やはり、大陸なので1日に1000km走ってバカンスに出かける、なんてことも日常茶飯事のヨーロッパ。

 シートの座り心地に手を抜くと、クルマが売れないのかもしれないですね。どんなに小さなクルマでも、シートだけはしっかりしたものを、という輸入車は実際に多いですが、日本車だとそれがシートアレンジの豊富さや、荷室がフラットになるといった実用性優先になることも多いですよね。

6)安全装備の充実

 6つ目は、安全装備がしっかりしていること。最近では日本車も、軽自動車から先進の運転支援技術が搭載されるようになりましたが、ひと昔前は同じ車格で日本車と輸入車を比べると、輸入車の方が安全装備が充実していることが多かったのです。とくに、コンパクトクラスでも大きなクルマと同じ内容の安全装備を搭載する、というのが欧州メーカーの方針だったため、高いお金を払ってでも安全なクルマに乗りたい、という人は輸入車を選ぶことが多かったと言えます。

7)仕事上でのイメージやご近所の目を気にする場合

 7つ目は、仕事をする上でのイメージや、ご近所の目を気にする場合。たとえば住宅メーカーの営業マンに聞いたのですが、社用車ではなく自分のクルマで顧客をまわることもあり、そんなときにちょっといい日本車に乗っていると、顧客から「ぼったくられているんじゃないか」とあらぬ疑いを持たれる可能性があるというのです。でも、だからといって欲しくもないクルマには乗りたくない。

 そこで、みんな知ってるドイツ車ではなく、ちょっとマイナーな輸入車のなかから選ぶと、高いクルマに乗っていると思われることなく、自分も満足できるからいいのだという話でした。ご近所の場合もそれと同じようなことで、社宅だと上司が乗っているクルマより高いものを買うのは気が引けるけど、マイナーな輸入車だと価格がバレにくく、「あいつ、オレよりいいクルマ買ったな」などと目をつけられずに済むということですね。そういうハズし技もあるようです。

 そんなわけで、日本人が世界に優秀だと認められている日本車に乗らず、あえて輸入車を選ぶのはなぜなのか? 25年かけてたどり着いた7つの理由をご紹介しました。いろんな理由を挙げましたが、個人的には「あんまり難しく考えず、周囲に流されず、自分がいいと思ったクルマに乗ることがいちばんの幸せ」だと感じています。

 また、輸入車に乗ると、そのクルマが生まれた国ならではの考え方や感性、歴史やライフスタイルといった個性をクルマから感じることができ、それも大きな魅力のひとつではないでしょうか。一度しかない人生ですから、日本車も、輸入車も、ぜひいろいろ乗ってみてほしいと思います。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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