「Tクロス」はFF車として最高レベルの操縦性!
VW(フォルクスワーゲン)から新型SUVとして2モデルがラインアップされた。その名も「Tクロス」と「Tロック」だ。
Tクロスは同社のコンパクトカーであるポロをSUV化したようなモデルで、全長4115mmとコンパクトな車体となっている。ポロの全長は4060mmと若干短いが、そこはSUV化に必要なサイズアップが必要だったのだろう。 WB(ホイールベース)は2550mmとポロと変わらないことからも、同じプラットフォームであることが伺える。
搭載するパワーユニットはポロのベーシックモデルと同じく1リッター直3直噴のTSIエンジンで、7速デュアルクラッチのDSGトランスミッションと組み合わされるのも同じだ。車両重量は1270kgとポロより100kgほど重くなっているが、駆動方式はFF(前輪駆動)のみの設定となっている。
SUVでありながら、FFであるというのは筆者的には「No」なのだが、じつは1年前にTクロスを中国のサーキットでタイムアタックしたことがあり、そのハンドリングの秀逸さに「さすがVW」と舌を巻いたことがある。今回は国内の一般道での試乗だから速度域は低いが、中国で感じられた軽快かつコントローラブルなハンドリングが引き継がれているのかに注目して走り出した。
わずか1リッターの小さな排気量のエンジンながら、3気筒でターボ過給を効率良く行うことができている効果もあり、アクセル操作に対するトルクピックアップ性に優れている。加えてDSGの制御が素晴らしく、シフトプログラムが市街地やワインディングにもジャストマッチしていてストレスがない。スポーツモードを選択すると、アクセル操作でダウンシフトを1〜2段と引き出す事が可能で、ブレーキ踏力や制動Gにも連動してコントロールしやすいのだ。
車体のロール姿勢を押さえ込み、コーナーではフラットな姿勢で走れる。そのため駆動内外輪の接地性に優れていてトラクションもかかりやすい。中国のサーキットで体感したのと同じ高いハンドリングレベルを確認した。SUVというよりも、FF車として最高レベルの操縦性であり、むしろポロよりも優れているという気さえしてきた。