ペダルの操作力の改良が肝!
マツダはこのところ、商品改良に余念がない。このCX-5も、2020年12月に4回目となる改良を行った。
その内容は地道で、エクステリアに変更はなし。インテリアでも、横ワイドのナビゲーション画面が少し大きくなった程度(8インチから8.8インチ、または10.25インチ)にすぎない。
では、どこが商品改良なのか? 今回、試乗した2.2リッタークリーンディーゼルエンジンのSKYACTIV-D 2.2搭載モデルでは、最高出力を190馬力から200馬力/3000-4500rpmに向上させている。つまり、高速道路の合流、追い越し加速などのシーンでよりパワフルな加速性能、全開トルクを実現しているというわけだ。
また、これからの時代のクルマに不可欠なコネクテッド機能も拡充。スマホアプリの「My Mazda」、緊急通報サービスなどを採用し、24時間、安心してドライブを楽しめるようになっている。
……えっ、それだけ? と思うのは早い。マツダの商品改良は、目に見えにくい部分にまで施されているのが通例で、じつは走行性能に大きくかかわる細部にこそ、今回の商品改良の肝があったりするのである。
それは、アクセルペダル。操作力の最適化というと大雑把すぎて分かりにくいが、アクセルペダルの操作力を18ニュートンから23ニュートン、つまり前型より2割増しの重さ(踏力/反力)としたのだ。これによってなにがどうなるかと言えば、より細かく正確なアクセルコントロールが可能になり、また、自然とゆっくり踏み込むことになり、トルクの上昇とリンク。加速度と一致し、リズムのいい、思い通りの加速、走りが可能になるということだ。さらに、軽い踏力のペダルより、足首、ふくらはぎの筋肉が疲れにくいというメリットさえあるとのこと。そして結果的に無駄なアクセル操作をしなくなり、モード燃費に現れない実燃費が向上するという。
では、実際にSKYACTIV-D 2.2搭載モデルを走らせてみよう。相変わらず、静かなアイドリングからアクセルを踏み込む。ペダルの操作力が1.2倍といっても、如実に重くなった感覚はない。そう思わせないところもマツダ流のこだわりなのだろう。
が、これまでのSKYACTIV-D 2.2搭載モデルに感じていた、ガソリン車以上に濃厚で上質極まるエンジンフィールはやや薄まったと思えたのも本当だ。言い方を変えれば、よりスッキリ、スムースで、爽やかな動力性能になった、という印象なのである。