天下のトヨタにも存在した販売不振だったモデル
自動車づくりは博打というか、水モノとよく言われる。満を持して開発したクルマがさっぱり売れなかったりすると、巨額な開発費をペイできなくなってしまうし、ディーラーの販売量にも影響。さらにヒットがさっぱり出ないとメーカー自体の存在すら危うくなることもあったりする。
ただ、販売不振だったクルマがすべてダメグルマのかというとそんなこともなく、技術的には意義があって、その後のクルマづくりに活かすことができたという例もある。そうなれば浮かばれるというもので、今回はそんな存在意義はあったクルマを見てみよう。
1)トヨタ・ビスタ
ビスタと言えばカムリの兄弟車として誕生し、トヨタのミドルサルーンを支えたモデルだ。その最後となったのはサルーンというより、頭でっかちのセダンで、ビスタ史上唯一のワゴンもあって、こちらもアンバランスな感じだった。
しかも5年間も販売されて放置ぎみ、そして肝心のビスタ店が消滅してなくなるというなんともな感じなのだが、頭でっかちというのがポイントで、乗員を立ち気味に座らせて、パッケージングに余裕を持たせようというアイディアゆえのもの。実際にクラスを超えた広大な各部クリアランスが確保されていて、今に至るまでの車内配置に活かされていると言っていい。
2)トヨタiQ
ユニークだったけど、ダメだったグルマの筆頭格みたいな言われ方をされることがあるが、天下のトヨタがそんな甘っちょろい判断でクルマは出さない。コンセプト自体が、Aセグメント、そしてシティコミューターはどうあるべきかという崇高なもの。車内も同じくで、2シーターと割り切れば大人ふたりが窮屈なことなく移動できるように作られている。
またインパネは超左右非対称だったり、シートも構造を工夫して、乗り心地と薄さを両立。メカ的にもステアリングコラムを上方に設置するなど意欲的で、その後に活かされたものは多い。