アメリカではローンの残債を回収しきれない可能性もあるという
南カリフォルニアの新車販売事情通によると、「アメリカでは0%ローン金利キャンペーンというものを行っていても、まず金利0%でローンを組めるひとはいません。まあ客寄せパンダのようなものです」と語ってくれた。アメリカのオートローンは、日本での金融機関などでのマイカーローンと似ている。アメリカではオートローンを組む際には、申請者の過去のクレジットカートの利用履歴や、不動産ローンの有無など、そのひと個人の過去の融資や支払い状況すべてなどにまで審査範囲が及ぶ。そしてその結果、融資を申請する個々人で貸付金利や融資額が変わってくるのである。
これは、「借金ゼロなら優秀」というものではなく、「借金も財産の一部であり、そのひとの社会的信用を示す」として審査が行われる。そのため、アメリカに住んでいる日本人が、数年間日本で仕事に就いてから、再びアメリカに戻ってローンを組んで新車を買おうとしたら、「過去数年間のアメリカでの融資実績がない」として、金利が高めで十分な融資額を得られなかったという話も聞いたことがある。
つまり、あるクルマが欲しくて300万円の融資を申請しても、結果的に250万円までしか融資がおりないというケースもあるのだ(しかも金利が高めとなることもある。しかも支払途中で変動する)。そのため、アメリカでは“身の丈”にあったクルマ、つまり乗っているクルマでそのひとの社会的ステイタスが大体わかるとさえいわれている。「0%金利ローンの告知をするということは、それだけ『いまは審査が甘いですよ』という意味も込められていると見るひともいます」(前出事情通)。
たとえば、南カリフォルニアにおいてローンの融資が甘くなると、それまで新車に乗れなかった階層までが新車に乗るようになることが多い。しかし、もともと現金の持ち合わせは極めて少ないので、買ったばかりなのに自損事故などでバンパーを欠落させてもそのまま乗っていたりしているのが目立つ。
そのように新車ユーザーに馴染みの薄い階層のひとが多く新車に乗っていたり、さらにダメージの大きい損傷でも修理していないクルマの目立つブランドは、「無理してリスクの高い売り方をしている」と見られるそうだ。最後は完済前に自己破産を申請されて残債の回収不能になるのがオチとなることも少なくないとのことである。
仮に日本で金利0%とすると、ディーラーの店頭でセールスマンが利用をあっ旋してくるおもにメーカー(ブランド)系信販会社のディーラーローンと呼ばれるものでは、当該車両の所有権を支払中は当該ディーラーや信販会社名義に“留保”して、購入者には使用権のみを与えることもある(所有権留保)。少々問題があっても連帯保証人をつければ、ほぼ誰でも金利0%でローンを利用でき、しかも金利の変動も気にしなくてもよく、さらに現金支払い総額すべてを元金、つまりフルローンも難なく組めたりもする。そのためアメリカのような客寄せパンダでは終わらないので、ローンだけでは儲けにはならない“大盤振る舞い”となってしまうこともあり、金利0%キャンペーンというのは、ほとんど行われないのである。
商談イメージ画像はこちら