日本における電動化の進捗度は現状緩やかになっている
言わずもがな、現在の自動車業界は電動化のビッグウェーブが来ている。早ければ2030年までにエンジン車の販売を禁止するという声は内外から聞こえてくるし、ノルウェーでは2020年の新車販売のうち54%が電気自動車(BEV)になっているという。本邦においても2050年のカーボンニュートラル(実質的なCO2排出量ゼロ)を実現するために、クルマの電動化は必須といえる。
しかしながら、自動車業界でいうところの「電動化」というのはバッテリーだけで走行するBEVのことだけを指しているわけではない。現時点での電動化トレンドというのはハイブリッドカー(HEV)から電気自動車(BEV)、燃料電池車(FCV)まで幅広く、電気モーターを駆動に使うクルマ全般を意味する言葉として使われている。そのためスタータージェネレーターで回生を取り、少々加速をアシストするだけのマイルドハイブリッドであっても電動車にカウントされる。
そうした前提条件であっても、2020年の日本市場における電動車比率は36%程度なのだという。FCVの販売台数は1000台に届かないくらいの規模で、BEVも1万台を超える程度の規模であるから、新車販売の3台に1台はHEVと考えていい。結構な比率ではあるが、たとえば2030年には新車販売のすべてを電動化しようというのであれば、電動車の普及はまだまだという印象もあるのではないだろうか。
とはいえ、ハイブリッド王国と呼ばれるトヨタの新車販売においても、グローバルでの電動化比率は23%程度に留まっている。その意味では日本市場は世界の平均よりは電動化を受け入れていると考えることはできるが、少々スピードダウンしているのは気になるところだ。
トヨタの発表によるとグローバルの電動化比率は2019年の20%から2020年に23%と加速しているが、その拡大に寄与したのは欧州や中国、北米だという。日本の電動化比率は高めではあるが、前年比でいえば1%程度しかアップしていない。若干停滞している感は否めない。