初代から受け継がれるフェアレディZの魅力とは? 新型はどうなる? (2/2ページ)
●歴代の日産フェアレディZについて
初代 S30型(1969年〜1978年)
1969年に誕生し、9年間で約6万6000台が販売された。当初日本国内では2リッター直6エンジンのL20型を搭載。また、ハコスカGT-Rと同じ高性能なS20型エンジンを搭載するZ432も用意されていた。それをベースにした競技専用モデルZ432Rも人気だった。
1971年には、輸出専用だったL24型エンジンを搭載する240Zを国内でも発売。なかでも240Z-Gは通称Gノーズと呼ばれる、フロントバンパー一体型のエアロパーツとオーバーフェンダーを装着した。ベースモデルに対し、さらに迫力アップして存在感を高めている。
1973年には公害問題やガソリン高騰により、残念ながらZ432や240Zシリーズが生産中止となってしまう。その後は排出ガス規制に適合させ販売され、1978年に生産終了となった。
2代目 S130型(1978年〜1983年)
初代のS30型のロングノーズ・ショートデッキスタイルを継承して誕生。特徴的な丸形ヘッドライトや四角いテールランプも受け継がれ、初代の雰囲気を色濃く反映しているモデルだ。今も人気の刑事ドラマである西部警察にも、主役級のパトカーとして登場することでも知られている。
搭載するエンジンは直6で、2リッターと2.8リッターの2種類。後に出力向上など進化を遂げ、運動性能の向上が図られている。アメリカでは1982年に2.8リッターエンジンをベースにターボ化したモデルも追加設定されている。
2代目は5年間で生産終了となったが、生産台数は約5万2000台と好調なセールスとなった。なお、この2代目で世界すべての累計販売台数が、初代から数えて100万台を達成している。
3代目 Z31型(1983年〜1989年)
型式名は2代目まで続いたSから、現行モデルでも継続するZに変更。ロングノーズ・ショートデッキのスタイルは受け継ぎながらも、より空力を意識したエクステリアデザインに生まれ変わった。ヘッドライトは丸形から角型となり、フロントマスクの雰囲気がガラリと変わった。
搭載するエンジンはV型となり、全車ターボエンジンとなった。VG型エンジンは2リッターと3リッターの2種類が用意され、後に直6ターボも追加設定されている。
1986年のマイナーチェンジでは、エクステリアデザインを大幅に刷新。3リッター車はテールゲートと左右ドア以外は意匠変更が行われ、3ナンバーボディが与えられた。2リッターはV6ターボが廃止となり、直6のみとなっている。V6エンジンはDOHCとなったVG30DEが追加され、1988年にはそれをベースにターボ化したエンジンも搭載されている。1989年に生産終了となり、国内の新車登録台数は約3万6000台。
4代目 Z32型(1989年〜2000年)
より流麗なスタイリングが与えられた4代目。よりワイド&ローを意識し、力強さが強調されている。個性的なヘッドライトはランボルギーニ・ディアブロにも流用された。全車3ナンバーボディとなり、2シーターと4人乗りの2by2が設定されており、2代目から用意されている爽快感が味わえるTバールーフもラインアップされた。
エンジンは先代にも搭載されていたVG型を継承。3リッターNAのVG30DE、3リッターツインターボのVG30DETTの2種類で、ターボは日本の自動車メーカーで初めて280馬力を達成したことでも有名だ。
2シーターにはオープンモデルが用意されるなど、個性的なモデルも登場。専用エアロやBBSホイールを採用するグレードを随時追加するなど、一部改良も積極的に行われた。なお、2000年に生産終了となり、Z32型の生産台数は約6万5000台。販売終了により、フェアレディZは一度絶版車種となってしまう。
5代目 Z33型(2002年〜2008年)
当時日産のCOOに就任したカルロス・ゴーンが行った日産リバイバルプランを象徴するモデルとして復活。Z32には用意されていた2by2は廃止となり、全モデル2シーターのみとなった。初代から続くロングノーズ・ショートデッキスタイルは健在。クーペとオープンモデルの2タイプが設定されており、幅広い層から支持された。
搭載するパワーユニットは全車NAに。VG型から進化した新世代のV6エンジンであるVQ型に移行し、3.5リッターという大排気量となった。組み合わせるトランスミッションは6速MTと5速ATとなる。
また、多くの特別仕様車も用意された。全日本GT選手権に出場するために誕生した、専用エアロを装着するホモロゲーションモデルであるタイプE、現在のコンプリートカーシリーズ「ニスモロードカー」の先駆けであるバージョンニスモなど、魅力的なモデルが用意された。
6代目 Z34型(2008年〜)
2021年2月現在も販売される現行モデル。先代のZ33型の雰囲気を色濃く受け継いだスタイリングとなり、よりロングノーズ感を強調したデザインに進化している。V字のようなヘッドライトとテールランプの形状が特徴的だ。
搭載するパワーユニットはVQエンジンの排気量を3.7リッターにアップさせ、6速MTと7速ATを組み合わせた。現在はクーペのみのラインアップだが、一時期はオープンモデルのロードスターも設定されていた。
また、先代にも用意されていたバージョンニスモも継続設定。その後ニスモロードカーのラインアップに組み込まれ、グレード名称もニスモに改められた。エンジンは専用チューニングが施され、よりダイナミックな走りが楽しめる1台に仕立てられている。
●新型フェアレディZはどうなるのか?
2020年9月に、7代目となる新型のプロトタイプが披露された。鮮やかなイエローのボディに、初代を彷彿とさせる変形丸形のヘッドライト、Z32型のような横一文字タイプのテールランプなど、歴代モデルの良さをうまく融合させたスタイリングとなった。
搭載するパワーユニットはV6ツインターボとなり、これは現行スカイラインのスポーティグレード「400R」のものがベースとなっているはずである。トランスミッションは6速MTで、それだけでも走りに期待が持てる仕様だ。エクステリアデザインなどはほぼ完成しているとのことで、大きくプロトタイプから変更されることはないだろう。
おそらく、市販モデルは東京モーターショー2021にて披露されるのではないだろうか? 価格については当然なにも公開されていないが、同じく専用チューニングが施されるV6ツインターボを搭載するスカイライン400Rは562万5400円、現行フェアレディZの最上級モデルであるバージョンST(6速MT)が519万8600円、スポーティさを追求したニスモ(6速MT)が640万9700円となっている。 しかし、フェアレディZのベースモデル(6速MT)は397万9800円ということを考えると、新型のエントリーグレードは400万円台前半になるのではないだろうか?
現在、日産の2ドアスポーツモデルはフェアレディZとGT-Rのみ。GT-Rは1000万円オーバーのスーパースポーツの域に達している。そういった意味では、手の届きやすい2ドアスポーツはフェアレディZとなる。新型も、ぜひ頑張れば購入できる価格設定としてほしい。
●日産フェアレディZは日本になくてはならないスポーツカーだ
アメリカで大ヒットした初代以降、おもに日本とアメリカで愛されてきた日産フェアレディZ。販売されていない時期もあったが、時代に合わせつつ、初代のDNAを受け継ぎながら進化を続けている。より走りを意識した新型の登場も控え、今後も多くのクルマ好きを魅了する1台として輝き続けるだろう。