単なるエコSUVじゃない! エクリプスクロスPHEVは雪道で振り回せる超絶旋回マシンだった (1/2ページ)

走行モードをスイッチひとつで選べるのが美点

 2020年末に電撃的に登場し、プロトタイプをサーキットで試走。ランエボX譲りのスポーティなハンドリングに感激させられた。その後、量産モデルを乾燥舗装路のワインディング路で走らせ、走りの完成度の高さとともに熟成の域を極めた三菱自慢のPHEVシステムの優れた制御にも感心させられていた。

 そこで、今回はスポーツSUVとして本来エクリプスクロスPHEVが得意とするはずの悪路である雪道を目指し、ロングツーリングを兼ねて走らせてきたのでリポートしよう。

 今回借り出したのは、エクリスプクロスPHEVで最上級グレードとなる「P」。これに20万9000円で設定されているメーカーオプションの本革シートを装備させた豪華仕様だ。本革シートを装着すると前席左右とも電動アジャストのパワーシートとなり、また前席のみならず後席にもシートヒーターが装備される。寒い雪国へ向かうには最高のパッケージングとなっているのだ。装着タイヤはブリヂストンのスタッドレスタイヤ「ブリザックVRX2」(225/55R18)と完璧だ。

 まずは東京都内を出発して関越高速道路を北上し雪国を目指す。高速道路ではACC(レーダークルーズコントロール)を利用し、楽にクルージングできる。エクリプスクロスPHEVに搭載されている運転アシスト機能はこの全車速で追従可能なACCをはじめ、車線逸脱警報システム(LDW)やレーンチェンジアシスト機能付のBSW(後側方車両検知警報システム)などで構成され、全方位をモニターしてくれていて安心感が高い。機能の設定操作もステアリング上で行いやすく、実用性が高いものだ。

 都内出発時にPHEVシステムのバッテリーは充電していない状態で走りだし、この高速区間で走りながらの充電を試みた。これはシフトレバーの横に設置されている「CHARGE(チャージ)」ボタンを押す事で可能となり、時速100kmで約30kmを走行すると30km分の電力が蓄えられた。そのまま満充電を目指してチャージを続ける。高速走行ではエンジンのパワーを主体的に引き出して走行している。そこでチャージモードを利用するとガソリンの消費が増えるので、モーター主体で走る80km/h前後の速度域でチャージすると効率が良さそうだ。さらに平坦路や下り坂でチャージし、登り区間はEVモードで走ると、燃費と充電の両方を効率よくこなせる。

 山岳地に近づくと登り区間が多くなり、さすがに電費も燃費も落ちてくるので高速を降りる手前のサービスエリアで急速充電設備を利用。30分で駆動用バッテリーに約80%の電力供給を受けて雪山に備えた。

 エクリプスクロスPHEVはこのようにシステムの走行モードをスイッチで選べるのが美点だ。デフォルトはエンジンを発電機として使うシリーズハイブリッドモードで、電気モーター主体で走行する。シフトレバー左手のスイッチを一押しすると「 SAVE(セーブ)」モードに切り替わり、バッテリーに蓄えられた電力を消費しないようにハイブリッドシステムを制御して走行する。高速道を降りてからはこのセーブモードで目標の雪山を目指した。

 それでも市街地や環境美化地域を通過する際は、シフトレバー右手の「EV」スイッチを押す事でエンジンを始動させないEV走行が可能だ。

 景観の美しい峠を幾つか超えて、いよいよ圧雪された雪道が現れ始める。エクリプスクロスPHEVの美点は4輪駆動のAWDシステムとなっていることで、アウトランダーPHEVとシステムを共有しているとはいえ、S-AWC(スーパー・オール・ホイール・コントロール)をはじめエクリプスクロスPHEVの走りに相応しい最適チューニングが施されていることで、雪道でも相応なハンドリングと走破性が期待できる。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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