ペーパードライバーもいることから問題ないとされている
たまに目にするのが、どう見ても初心者ではなさそうな若葉マークを付けたクルマ。同様に高齢者ドライバーが付けるマークも、車内を見ると高齢者ではない人が運転していたりする。単純に、家族も含めた他人のクルマを借りているだけなのかもしれないが、他車は配慮する必要があるだけに、適切に使用してもらいたいとも思う。
ただ、改めて聞かれると、「若葉マークは免許取ってから1年間付けるもので、付けていない切符を切られる」程度の知識しかない方がほとんどではないだろうか。ということで、今回、改めて初心者マークと高齢者マークについて調べてみた。
まずは初心者マークから。正式には「初心運転者標識」と呼び、皆さんご存じのように免許を取得してから1年間は掲示する義務があると、道路交通法に定められている。ちなみに途中で免停になると、免許の効力が停止している状態なので、1年間にはカウントされないので注意が必要だ。
掲示する場所は車両の前後で、地上40cmから120cmまでの間で、視認性の高い部分とされている。水平に近いボンネットやセダンの平らなトランクに貼っているのを見ることがあるが、見やすいという点ではグレーな場所ではある。掲示していない場合の罰則は反則金が4000円で、違反点数は1点となる。
また若葉のマークを付けているクルマに対して、割り込みや幅寄せをするとこちらも違反(初心運転者等保護義務違反)となって、罰則は中型車・大型車=7000円、普通車・2輪車=6000円で、違反点数は1点となっている。
そして気になるのが、1年以上経っても掲示していいかということ。結論から言うとペーパードライバーもいることから問題ないとされているが、考えようによっては運転に自信があっても掲示しておけば、割り込みなどをされた場合、相手を違反に問えることもできなくはない。この点については、警察の見解は「もともとそのようなことを想定していない」としてはいるが、現場の警察官に聞いたところによると、実際にトラブルになった場合は、初心者マークの悪用ということにはなるようだ。
一方の高齢者マークは1997年から導入されたもので「高齢者運転標識」というのが正式名称となる。気になる法律的な規定だが、現在は努力義務というのが実際。導入時は「75歳以上は義務」で、「加齢によって体の機能が低下して運転に影響を及ぼす恐れのある70歳から75歳は努力義務」としていたのが、2009年4月の道路交通法改正の際に当面はこの法律は適用せずとなり、現在は努力義務のみとなっている。
また文言も「70歳から75歳は努力義務」から「70歳以上は努力義務」という、曖昧なものとなっている。ただいずれにしても、若葉マークと違い、高齢者でないドライバーが付け行為は罰則がないとはいえ、やめたほうがいい行為だろう。こちらも保護義務違反は適用されるのでなおさらだ。
若葉マーク、高齢者マークともに、規定されているようで厳密には規定されていないなど、釈然としない部分もあるが、高齢者ドライバーの増加に従って法律の内容もまた変わってくるかもしれない。