レーシングドライバーが太鼓判! メーカー主催の「雪道レッスン」が「想像の斜め上」を行く内容だった (2/2ページ)

プロドライバーでさえ手応えを感じるメニューも

 日本ではあまり開催されていないが、欧州ではメルセデス・AMGやポルシェ、アウディなど各社が北欧のスウェーデンやフィンランドでスノーレッスンを開催しているし、ランボルギーニやフェラーリなどのスーパーカーメーカーも北部イタリア地域で毎年開催している(昨年以降はコロナ禍の影響で中止されている)。

 メルセデス・AMG社が主宰する「AMGドライビングアカデミー・スノーPROコース」などは冬のモータースポーツシーンで活躍できる速さを身につける特別なプログラムが組まれていた。

 そのトレーニングメニューは氷結した氷上の特設コースで組まれていて、初日「オーバルトレーニング」でカーコントロール(アクセルオン・オフ、ステアリング操作、ブレーキ操作でヨーをコントロール)するプログラムを学ぶ。ただオーバルは大小揃っていて、大では120km/h以上の車速でヨーコントロールさせている。

 二日目は8の字旋回を中・高速でコントロール。

 三日目になると仮設の氷上トラック(サーキット形式)でタイムアタックに終止する。このトラックは1周4〜10kmにも及ぶ大規模なもので、GPSデータを使って車両姿勢や車速、タイムなどを記録しフィードバックしている。なかには160km/hでドリフトしながら旋回する超高速コーナーも含まれ、プロドライバーにも難しいほどの難ステージが含まれている。

 AMGドライビングアカデミーでは2リッター4WDターボのA45シリーズ、ハイパワーFRのC63、ハイパワー4WDのE63 4MATICにスーパーカーのGTやGT-Rまで操らせてくれるのだ。

 これらはいずれもバンパーガードなどが装着され、コースアウトしてもダメージを受けないように改良されている。万が一コースアウトしても外壁はなく柔らかい雪壁に突っ込むだけ。怪我とクルマへのダメージを気にすることなく、存分にハイスピードスノードライブのスキルアップが図れるのだ。

 参加費用は60万円/人とやや高価だが、用意された車両のラインアップ、3日間終日走れるプログラムメニューと安全・安心の運営管理で行われることを考えれば、むしろ危険を犯して人里離れた冬の山岳路を走るよりよほど安全で意義がある。

 コロナ禍が収束して再び各社の「スノーレッスン」が始まったら、是非参加して素晴らしい体験をしながらスキルアップを目指して欲しい。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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