じつは技術的に得るものがない!
その理由としてあげられるのが、技術的なチャレンジが少ないことで、フォーミュラEでは開発コストを抑制すべく、多くのユニットでワンメイクコントロールを採用。しかも、その技術は古く、某自動車メーカーのエンジニアは「10年前の技術でフォーミュラEからは学ぶことはない」と語るように関心を示さなかった。一度はチャレンジしたBMWが、すぐに撤退した理由もそこにある。
またフォーミュラEが衰退する可能性がある理由としては、ほかのカテゴリーもEV化が進んできたこと。アウディがターゲットにしたようにダカールラリーもEVカーに門戸を解放。もともとラリーシーンで黄金期を築いた経験を持つアウディにとっては魅力的なフィールドで、より過酷かつ自由度の高い環境で電動パワートレインとバッテリーの開発を行うと同時に、より市販モデルに近いカテゴリーでプロモーションおよびマーケティングを実施してくことを優先しても不思議ではない。
現在、FIAでは「FIAエレクトリックGT競技会」および「FIAエレクトリック・ツーリング競技会」の技術委員会を立ち上げて、新カテゴリー設立の準備を進めているだけに、電動マシンのモータースポーツカテゴリーが増えてくれば、自動車メーカーは自社ブランドのマーケティングに合わせて新たなフィールドにチャレンジするに違いない。
もはや“電動フォーミュラレース”だけでは自動車メーカーの誘致を期待できない状態となっているだけに、今後は電動パワートレインを供給するアウディのように、フォーミュラEでの自動車メーカーの活動はカスタマーサポートに留まっていくことだろう。