日本で実現するには施設側などの問題が山積みに
そのように、実行するうえでの課題は山積だ。そして、この発想が生まれる理由は、エンジン車の燃料補給と同じようにEVの充電を考えているから起こるのである。しかし、EVは、エンジン車とまったく違った発想が求められる。
クルマは、必ず駐車する。その間に、駐車場で充電するのがEVの基本だ。それは、帰宅後などの夜間に限らず、勤務中や買い物の間、あるいは食事中など、生活のさまざまな場面でクルマを駐車し、用事を済ませるということをわれわれはやっている。クルマを利用しない時間帯にこまめに充電を繰り返すのが、EVの充電の基本であり、急速充電のように用事もないのに電気がなくなったから急いで充電する行動は、緊急対応なのだ。
したがって、充電の社会基盤の整備は、緊急対応の急速充電器を増やすのではなく、自宅はもちろん、会社や事務所、レストラン、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなど、生活上立ち寄る施設の駐車場に200Vの普通充電コンセントを並べることなのである。その意味でも、マンションなど集合住宅への200Vコンセント設置の実現が、求められるのだ。
またEVに搭載されているリチウムイオンバッテリーは、電気を使い切ってから満充電するより、まだ電力が残っているうちにこまめに充電を繰り返し、満充電にしないで利用するのが長持ちの秘訣である。この点は、携帯電話やノート型PCの充電も同じだ。ニッケル水素や、ニッケルカドミウムなどで懸念されたメモリー効果がないのが、リチウムイオンバッテリーだ。
急速充電しながらバッテリーを次々に交換する方法は、バッテリーを劣化させやすい使い方でもある。つまりバッテリー交換は、あらゆる意味でEV利用の最適解ではないのである。