ルーテシアのスタートダッシュは排気量の大きいポロを上まわる!
では実際に走らせて走行フィーリングを試してみる。最初に搭乗したのはポロだ。ポロは前モデルのGTIに試乗して以来のテストドライブとなったが、走り出してすぐにシャシー剛性が高まっていることが感じ取れた。前輪と後輪が一枚の鋼鉄の板で繋がれているかのような一体感があり、前後輪間で応答の遅れを感じさせない。シャシー剛性が高まったことでサスペンションも強化されていて、バネレートが固く、コーナーではロールを押さえ込んでステアリング応答性を活かしているのだ。
さらにXDSと呼ばれる電子制御式デファレンシャルロック機能を有しており、ハイスピードコーナリングでの回頭性とトラクション性を極限まで追求しているようだ。その姿勢はGTIの再来を彷彿とさせるものだが、ファミリーユースとするにはサスペンションのバネレートが固すぎる印象も拭えなかった。
ルーテシアは走り始めるとエンジンのトルクピックアップが優れていることに驚かされる。排気量に勝るポロを凌駕するスタートダッシュの力強さは圧倒的だ。
サスペンションは仏車の流儀にしたがってしなやかで、ストローク感もありロードホールディングがいい。それでもコーナーでのロールは抑えられていて「雲の絨毯」に乗せられているかのようなスムースで滑らかな走りを披露してくれた。
対して208は低速トルクが圧倒的に足りない印象。スタートダッシュではトルコン制御にもたつき感があり(2速発進をしているかのような)、スポーティな印象は走りだしてから薄れてしまう。それでも車速があがってくればキビキビと加減速できるようになるが、動力性能面ではポロ、ルーテシアには及ばなそうだ。
サスペンションは「猫足」と評されるようにダンパーを効かせた乗り味で、同じ仏車でありながらルーテシアとはまた違った滑らかな足まわりといえる。
高速道路の快適性などは3車とも高いが、ビシっと引き締まったポロの乗り味、緩さの中にも揺れを抑えるしなやかな208の快適さ、その中間をいくルーテシアの絶妙な接地感など、それぞれの個性が引き出されていて面白い比較となった。
あえて結論は示さないが、乗り味の個性は確実にドライバーの好みによって分かれることだろう。そこは各位試乗して確かめることを薦めておきたい。