「失敗する」の声も上がる「クラウンSUV」の噂だが果たして? 大幅「方向転換」で成功を納めた国産車4台 (2/2ページ)

流行りのSUVや軽からイメチェンして成功したモデルも存在!

3)スズキ・スイフト

 ただし、必ずしもSUVにすれば売れるというわけではありません。2020年、国内市場においてシェア第二位まで成長したスズキの主力モデルである「スイフト」は、初代モデルが日本デビューをしたときには、どちらかといえばSUVよりのハッチバックでした。軽自動車「Kei」のワイド版といったコンセプトで、ちょっと車高を上げたスタイル、フェンダーアーチを樹脂で処理したところなどは、完全にクロスオーバーSUVといえるものだったのです。

 しかし、フルモデルチェンジによりオーソドックスなハッチバックへ変身したことで、スイフトというクルマのイメージは大きく変わります。初代スイフトは軽くて安い登録車という印象が強かったのですが、2代目以降のスイフトは、本質的な走りを重視したハッチバックモデルとしてキャラクターを変えていきました。イメージチェンジは成功したのです。

4)スズキ・ソリオ

 スズキといえば、2020年には年間で4万342台も販売され、同社のヒットモデルとなっている「ソリオ」のイメージチェンジも忘れることはできません。こちらもスイフト同様にルーツをたどるとワゴンR+と呼ばれる軽自動車のワイド版からはじまった名前でした。すなわち最初は後席ヒンジドアで、ルーフレースが備わるなど全高が高めのシルエットこそ共通していますが、今とはまるで異なる商品企画のモデルだったのです。

 はっきりいって当時は、ワゴンRのおまけ程度の認識で売上自体も今ほどではありませんでした。それが2代目へのフルモデルチェンジを機に後席スライドドアとして、いわゆる元祖プチミニバンとして認識されるようになってからは一変しました。スズキの主力モデルとなったのです。まさに商品コンセプトの変更がうまくいった好例です。

 あえて名前はあげませんが、過去には商品コンセプトを大きく変えて失敗したモデルも数多くあります。そう考えると、大胆なイメージチェンジというのは賭けに近い部分もありますが、2020年のクラウンの販売台数は2万2173台で、前年比61.4%となっています。現行クラウンのデビューは2018年6月、2020年11月にインパネを一新するほどのマイナーチェンジを実施するなど鮮度が高いことを考えると、この数字は商品コンセプト的な厳しさを感じるのも事実。ウワサされているクーペSUVスタイルへの大変身で成功するという保証はありませんが、このままの商品コンセプトではジリ貧といえそうなのも、また事実といえるのではないでしょうか。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

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