F1マシン並の速さを見せつけるスーパーフォーミュラ
日本発の国際シリーズとして国内最大級の人気を誇るスーパーGTだが、2020年は新型コロナウイルスの影響により富士、鈴鹿、もてぎの3コースだけに限定したほか、前半戦は無観客で開催された。後半戦からは観客の動員を図るものの、人数制限が行われていたことから、まさにレースファンにとって残念なシーズンとなったに違いない。
それでも数多くのメディアで激しいバトルが紹介されるなど、いまだスーパーGTは抜群の注目度を誇っているが、日本ではスーパーGT以外にも魅力的なレースが行われていることをご存知だろうか?
なかでも、一見の価値があるシリーズが国内トップフォーミュラとして知られるスーパーフォーミュラだと言えるだろう。確かにマシンの開発競争が展開されているF1、多彩な車種ラインアップを誇るスーパーGTに対して、スーパーフォーミュラは専用シャーシ「ダラーラ・SF19」のワンメイクで、タイヤもヨコハマのワンメイクでコントロール。
エンジンに関してはトヨタとホンダで開発競争が展開されているものの、その仕様は2000ccの直列4気筒ターボで、メカニカル的な部分においては他のカテゴリーよりも注目すべきポイントは少ないかもしれない。
それでも、スーパーフォーミュラが魅力的なカテゴリーと言える理由が、その“スピード”だ。専用シャーシ、ダラーラSF19の車両重量は、ドライバーを含めてもわずか670kgで、2000ccの直列4気筒ターボエンジンは550馬力の最高出力を発揮。そのパフォーマンスは“1/1のラジコンカー”といった仕上がりで、2015年および2017年にチャピオンに輝いた石浦宏明も「レース中、心拍数が190ぐらいまで上がるし、コーナーによっては息ができない。こんなに肉体的に厳しいレースは世界的にも珍しいと思います」と語るほどのパフォーマンスとなっている。
事実、コースレコードをチェックしてみてもスーパーフォーミュラは鈴鹿サーキットで1分34秒442(2020年/ニック・キャシディ)をマーク。F1の決勝タイム、1分30秒983(2019年/ルイス・ハミルトン)に近づきつつあるほか、富士スピードウェイでスーパーフォーミュラは1分19秒972(2020年/野尻智紀)をマークするなど、WECの1分22秒639(2015年/マーク・ウェーバー)を凌駕している。
しかも、集うドライバーの顔ぶれはF1経験を持つベテランから、勢いのある若手の逸材まで国内外の強豪が勢揃い。まさにスーパーフォーミュラは国内最速のバトルを満喫できるカテゴリーとなっている。