生産時のCO2排出量は電動化によって増えてしまう
クルマの電動化は待ったなしといったムードになっている。2021年、ますます電動車両が世界的に増えていくことは間違いないだろう。
その一方で、生産から運用、廃棄までを考慮したLCA(ライフサイクルアセスメント)でみると電動車両にCO2排出量低減効果はさほどないという主張もある。なぜなら電動車両、とくに電気自動車のマストアイテムであるバッテリーの生産時に多量の電気を消費してしまい、結果として製造段階で多くのCO2を排出してしまうからだ。
ただし、電気自動車はエンジン車に対して製造時のCO2がどのくらい増えるのかということは明言できない。そこには大きく二つの変動的な要素があるからだ。
ひとつはバッテリーの搭載量。バッテリーの生産時にCO2排出量が増えるのだから当然だが、同じボディであってもバッテリー搭載量が異なれば、車両としてのCO2排出量は異なってくる。電気自動車というと不安のない航続距離のために多くのバッテリーを積んでいるほうが正義と思いがちだが、CO2排出量の視点からすると用途に応じて最小限のバッテリーを積んでいる電気自動車のほうが正義になる。
具体的には近距離ユースがメインのコミューターであれば余裕をみて200kmくらい走行可能なバッテリーを積んでおけば十分だ。そうした用途なのに、500kmも走れるほどのバッテリーを積むのは車両価格も上がってしまうし、CO2排出量的にも無駄なのだ。だから、電気自動車VSエンジン車の生産時におけるCO2排出量を比べるには、バッテリー搭載量を決める車両コンセプトによって大きく異なってくる。