ぶつかっていなくても事故は成立する! いま急増中の「非接触当たり屋」に要注意 (1/3ページ)

この記事をまとめると

■かつての当たり屋は自らクルマにぶつかってきた

■ドラレコが普及したいま「非接触当たり屋」が増えた

■その手口と対策を紹介する

たとえぶつかっていなくても事故扱いになる!?

 ふらりと現れた歩行者が、みずからクルマに接触してきたと思ったら大げさに倒れる。そんなステレオタイプの「当たり屋」もかつては多く実在していた。しかしドラレコの普及によって証拠が残りやすくなり、三文芝居が通じなくなると、彼らはまた違った方法を使うようになってきた。今でもしぶとく当たり屋は生き残っているのだ。

 念のために当たり屋について補足しておこう。それは故意に事故を起こし、被害者を装って賠償金をせしめようとする輩のことだ。加害者に仕立てられた被害者に「示談金」や「慰謝料」と称してお金を請求することもあれば、保険金の支払いを求める者もいる。いずれも犯罪行為で、詐欺罪や恐喝罪に当たる。

 当然お金を払う道理も、謝罪する必要も一切ないのだが、予想外のアクシデントに動揺しているとその判断力が鈍ってしまう。たとえ怪しさを感じても、その場で当たり屋だと100%特定するのも難しい。当たり屋はそうしたターゲットの心理を巧みに突いてくる。

 しかし、あらかじめ彼らのやり口をある程度知っておけば、もしもの時にも対応しやすい。その具体例や対策、予防方法を紹介していこう。

 わざと「クルマに当たる」ことから当たり屋といわれているが、当たらない当たり屋もいる。非接触事故を装うケースで、ここ数年で増えてきている。事故といえばクルマ同士がぶつかったり、クルマと自転車、歩行者などと接触して起こるものだが、物理的な接触がなくても事故として成立するのだ。

 たとえば自転車で走行中、横から急にクルマが飛び出してきて転んでしまった。あるいは隣の車線を走っていたクルマが、唐突にこちらの車線に移ってきたのを避けようとしてガードレールにぶつかってしまった、など。

 どちらも相手のクルマとは衝突しなかったが、それが元でケガを負ったり事故を起こしてしまったケースが非接触事故。接触はしていなくとも「事故の原因が相手にある」という因果関係が立証できれば、慰謝料や修理費用を請求できる。実際にこうした非接触事故の事例は数多くある。

 それを装い利用するのが最近の当たり屋。具体的にどうするかというと、まずクルマではなく歩行者や自転車で現れる。そしてひと気のない狭い十字路などで獲物を待ち、出会い頭にクルマに驚いたふりをしてモノを落としたり転んだりするのだ。あとは、

・スマホや時計が壊れたといって弁償させる

・ケガをしたといって慰謝料や治療費を請求する

 といった具合。当たり屋側にとっては、クルマと接触しないから本当にケガをするリスクが少ないし、「急に出てきたクルマに驚いた」といえば、リアルに被害者を装いやすい。

 そしてやはり「非接触」というのがポイント。実際にぶつかったわけではないので、なんとなく警察に届け出なくても、その場の対応で解決できそうな気になってしまう。そして当たり屋から請求されるのも、数千円から1~2万円程度であることが多い。トドメに「届け出るといろいろ面倒になりますよ」「違反点が付きますよ」などといわれると、多少のお金を払ってでもチャラにしたくなるのが心情だろう。

 シチュエーションは狭い路地だけでなく、駐めていたクルマをバックで出そうとするとき、見通しの悪い駐車場から歩道を横切るときなど、スピードは出せず、なおかつそのまま走り去りにくいところが多い。ドライバーも初心者や女性、高齢者などが狙われやすいが、事故が仕事に大きく影響するタクシーも被害に遭いやすいという。


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