「転がり抵抗」だけでの判断は危険! 低燃費タイヤの「真実」とは (2/2ページ)

性能の差によってクルマ1.5台分も制動距離が異なる

 要するに「低燃費タイヤ」というカテゴリーの性格上、グリップ力より燃費性能を重視したカタチになっているのが否めないというわけだ。

 なお、ウエットグリップ性能が「a」のタイヤと「c」のタイヤとでは、ウエット路面で100km/hからのフルブレーキ時の制動距離はクルマ1.5台分もの差がついてしまう。

 反対に、タイヤの転がり抵抗を20%減らすと、燃費は約2%向上(寄与率10%の場合)といわれているが、2%の燃費のためにグリップ力を犠牲にするのは、間尺に合わない。

 しかも、グリップの低いタイヤ=転がり抵抗の少ないタイヤは摩耗が少ない。摩耗が少ないのはライフが伸びていいと思うかもしれないが、減らないことで使用期間が延びれば、タイヤのゴムは経年劣化で硬化して、どんどんグリップ性能は落ちていき、ますます危険な状態に……。

 2%の燃費を気にするのなら、タイヤの銘柄よりも空気圧管理に気を配るほうがはるかに重要。

 空気圧が指定値より50kPa低くなると、市街地でも燃費は2.5%も悪くなる。郊外では4.3%で、高速道路では4.8%。しかも高速になればなるほど空気圧が低いとタイヤのトラブルの原因になり、リスクがアップ!

 まとめると、タイヤのグリップ力(ウエット性能)は、転がり抵抗と背反する宿命なので、タイヤに関してはグリップ性能最優先で、燃費は二の次でというのが大前提。

 わずかな燃費のためにタイヤ選びを間違えると、もっと高くつくことになるかもしれないので気をつけよう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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