軽自動車でも後席が広々快適になったモデルが増えてきた
その後、E38型BMW7シリーズのセダンの後席に魅了され乗り換える。最上級の750iLはホイールベースが3070mmもあり、後席の足もとスペースは圧倒的な広さを誇った。シートはもちろんレザー仕様で、後席も左右独立で電動リクライニング機構を備え、シートヒーターも備えていた。また後席専用のエアコンユニットと吹き出し口を備え、ウッドテーブルにライティング付バニティミラーやセンターアームレストにはオーディオコントロールユニットも備えている。極めつけに後席ドアウィンドウに目隠しにもなるブラインドサンシェードをも備えていた。
もともと窓ガラスは全席遮音に優れた2枚ガラスを備えていて、外界の音を高度にシャットダウンしていたから室内はつねに静寂が保たれる。アストロ・コンバージョンから乗り替えても、まったく遜色ない使い勝手と居心地の良さだった。セダンでもこんなに居心地のいい後席が備えられるというのは323型ファミリア以来のカルチャーショックだった。
それ以降、メーカー各社に4ドア車の後席について意見をつねに伝えて来た。それがおもに下記の5つだ。
1 後席もリクライニング機構を付けよう。
2 後席にもシートヒーターを付けよう。
3 後席用エアコン吹き出し口を設けよう。
4 後席足もとを広くしよう。
5 後席窓にブラインドサンシェードを付けよう。
その意見を受け入れてくれたのはマツダCX-5(現行)だ。1/2/3を満たしてくれた。トヨタは現行RAV4で1/2/3/4を満たし、北米輸出用の3列シートモデルには5も備えフルマークとなっていた。
レクサスが4代目となるLSを登場させるとき、当時の担当開発主査だった吉田守孝氏にBMW750iLの後席の素晴らしさを伝えた。そして装備的には要件を満たしたLSが登場して嬉しく思ったが、剛性感や完成度を高めるにはもう少し熟成が必要だった。
今では高級車と呼ばれるクルマのほとんどは1〜5を満たしている。時代はホンダN-BOXなどのスーパーハイト軽モデルにも1/4/5などの装備が備わり始めていて、レーシングドライバーの食指はフルマーク軽の登場をも待ち望んでいるのだ。