事故などの長期代車として活用されることも
そうしたニーズのひとつとして無視できないのがレンタカーだ。レンタカーというと旅先などで借りるもの、マイカーを持たないユーザーが必要に応じて借りるものというイメージが強いかもしれないが、事故対応での代車ニーズというのも無視できない。
とくに追突事故など0:100の事故では被害者側に、修理期間ずっと“同等の車両”を代車として提供することが求められる(加害者側が任意保険に入っている場合)。たとえば、ヤリスのオーナーが被害者になったときは、同等クラスのコンパクトカー(マーチやフィット、MAZDA2)などが提供されるし、ハイブリッドカーであれば同クラスのハイブリッドカーを提供することになる。基本的に車両のアップグレードもダウングレードもできない。
つまり、被害者側のクルマがアルファードであれば、LLクラスのミニバンを貸し出すことになる。そうしたニーズを考えると、少しでも安く購入できるグレードがあることは、レンタカー会社にとってはメリットがあることがわかるだろう。
ただし、グレード数が多いということは、それぞれで燃費や排ガスなどの試験を受けるコストがかかり、また製造時の作り分けによるコストもかかる。これから高齢化などにより日本の自動車市場が縮小していくといわれているなかで、細かいグレードの作り分けをすることは難しくなっている。気付いている人もいるだろうが、近年の新型車で数が出ないモデルではモノグレードであることが当たり前になっているくらいだ。
こうして考えると、国内ではトップクラスに数が出るモデルであるアルファードはともかく、フーガのようなさほど売れていないモデルについては徐々にグレード整理されていくと考えるのが妥当だろう。いまや松竹梅の法則と言っていられない時代になってきている。