マイカーの需要が高まり在庫不足になるほどクルマが売れた
2020年春の緊急事態宣言発出による大きな販売台数の落ち込みから、想定外に短期間で回復を見せた日本の新車販売市場。2020年秋以降はさらに拍車がかかり、多くのディーラーでは目標販売台数が上方修正されたが、年末にかけてはそれを軽くクリアするほどに非常によく新車が売れた。
このような早期に販売状況が回復傾向に入ったことにはさまざまな要因が取り上げられているが、新車以上に中古車がよく売れていることが、新車販売を押し上げているのは間違いない。
新型コロナ感染拡大が起こると、感染予防という点で鉄道やバスなどの公共交通機関の利用を避けるために、“マイカー”というものが見直されることになった。新型コロナ感染拡大前には、都市部を中心にクルマについても“シェアリングするのがスマートでお洒落”というような考えが広まり、カーシェアリングの普及とともにマイカーを持たないという、“マイカー離れ”が加速していた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大以降は、誰とシェアリングしているのかもわからないなかでは不安が大きいと考える人などが、自家用車の保有復活へと流れていった。
しかし、緊急事態宣言が発出されたころは、新車の生産工場の操業停止なども相次いだことから、新車の納期遅延が深刻となった。そして、そのようななか、新車より早く手に入る中古車の需要が一気に増えることとなった。中古車市場では在庫が不足し、下取りや買い取りでの査定価格のアップ傾向が続いている。「緊急事態宣言発出中の5月はとくに顕著にリセールバリューがアップしました。冗談抜きで“売り時”でした」とは現場のセールスマン。