あくまで運転を支援する仕組みであり過信は禁物
ユーザーだけではなく、日系自動車メーカー関係者の多くも、ADASと自動運転との関係の本質を知らないのが実情だ。
なぜならば、自動運転のレベルという考え方が2010年代前半にアメリカ政府主導でいきなり決まり、結果的にADASが自動運転レベル1やレベル2に組み込まれてしまったからだ。
実際、アメリカの運輸省等の関係者が自動運転レベルに関する考えをサンフランシスコで示した場面に、筆者は立ち会っている。当初は、運輸省道路交通安全局(NHTSA)と自動車技術会(SAE)がそれぞれ自動運転レベル付けを公表したため、ADASの解釈も不明瞭になった印象がある。その後、SAE案に一本化され、それに日本政府も準拠した。
結果的にADASは自動運転レベルの一部として捉えられるため、一部の自動車メーカーでは「自動運転技術を活用した……ADAS」というマーケティング用語になっている状況だ。
いずれにしても、ADASはあくまでも運転を支援する仕組みであり、天候による路面状況の変化や、ドライバーの体調などによって、ADASの実質的な効果は変わることをドライバーは十分に認識する必要がある。最新ADASに対する過信は禁物だ。