EVならではの「未来感」はホンダeが勝る!
では、加速性能はどうだろう。ホンダeのアドバンスグレードとリーフのe+を比較すれば、その最高出力、最大トルクの値を見ても、車重が大きく変わらないこともあって、リーフのe+が優位なのは当然。が、モータ―パワーのクルマを甘く見てはいけない。ホンダeでもアクセルペダルを踏み込めば、それこそ血の気が引くほどのシームレスかつ強烈な加速力を披露してくれるのだ。実際、都会では、アクセルを深々と踏み込むのがためらわれるほど速い。
ここで注目すべきは、ホンダeの場合、標準車とアドバンスグレードの最大トルク32.1kg-mはまったく同じということ。どちらのグレードを選んでも、モーター駆動ならではのトルキーさを存分に味わえるというわけだ。ここだけの話、乗り心地に優れるのは、いや、よりピュアEVらしいスムースかつしっとりマイルドな乗り味を示してくれるのは、16インチのヨコハマブルーアースAE50を履く標準グレードのほうである。
ちなみに、ブレーキを踏まずに減速から停止まで持っていけるリーフにあるワンペダル=e-PEDAL機能は、ホンダeでも、アクセルペダルを緩めると、自動的に回生ブレーキが作動して、しっかりと減速が可能。最初は慣れが必要だが、慣れれば自在にスピードコントロールできるようになり、都会はもちろん、山道での走りやすさに直結するのは両車に共通する美点だ。
ただ、ピュアEVに未来感を求めるなら、ホンダeが圧倒する。スマホをかざしてドアロックを解除でき、世界初の5つものスクリーンをダッシュボード左右いっぱいに水平配置するワイドビジョンインストルメントパネルの超先進感ある見映え、さらにはダッシュボード上のNFCマークにスマートフォンをかざせば、ホンダeに電源が入り、起動するのがホンダeなのである。
また、ワイドビジョンインストルメントパネル左右端に配置されるサイドカメラミラーシステムのディスプレイも新鮮だ。アウトサイドミラーがなく、斜め前方の視界に死角がまったくと言っていいほどなく、見やすさも問題なし(ボクも始めて運転してすぐに慣れた)。つまり、未来感とともに、すっきりとした前方視界が得られるのもホンダeの大きな魅力と言っていい。
その点、リーフのメーター、ナビゲーション周り、というか、内外装全体の”未来感”は意外なほど、あるようで、ない。HVカーに近い、新型ノートと大きく変わらない!? ごくフツーのクルマっぽいのである。ホンダeに乗り換えれば、誰もがその内外装デザイン、装備に感動し、驚くはずだが(そこが高価な理由でもある)、リーフではそうはなりにくいのである。
結論としては、もちろん、ピュアEVにガソリン車のような航続距離を求め、充電をあまり心配せずにロングドライブを楽しみたいなら、実質約320kmは無充電で走れるリーフe+の選択になる。つまり、ファーストカーとしても使えるピュアEVの実力の持ち主だ。
ホンダeは、繰り返すけれど、都市型コミューターとして割り切られたミニマムサイズのピュアEVだ。自宅に充電設備があり、近所の買い物などに使う分にはまったく問題なく楽しいが、一般的にはガソリン車やHVがある家の、最大4人乗りのコミューター、セカンドカーとして使うのが正しい。
価格が接近する国産ピュアEVのホンダeと日産リーフe+は、一般的な走行シーンでの加速性能には優劣付けがたいものの、使い方、未来感が大きく異なる2台ということだ。