セダンに限らず安泰とは言えないモデルが多々ある
年末になると一年を振り返りたくなるものだが、2020年に消えてしまったモデルは少なくない。後席ヒンジドア・ミニバンのホンダ・ジェイドはラインアップから消え、トヨタ・プリウスαはいずれも生産終了を宣言、トヨタではスライドドアの左右非対称ボディを持つポルテ/スペイドの姉妹車も消えてしまった。
さらにトヨタ・アリオン/プレミオといった中級セダンも2020年度内での生産終了が公式に発表された。同時に、日産でもシルフィが生産終了していたことが判明。さらにスバル・レガシィB4も現行モデルは生産終了していることがアナウンスされている。日本に限らず、世界中で「セダン離れ」の傾向は強まっているが、ひっそりとセダンの新車はその選択肢を減らしている。
なにしろ非公式な噂レベルではあるが、あのクラウンでさえ次期型ではSUVスタイルになるといわれているほど。いまのトレンドが続く限り、セダンに明るい未来はみえない。
1)ホンダ・レジェンド
その意味では、次に消えそうなセダンの最右翼といえるのが、月販二桁の販売台数となっているホンダ・レジェンドだろう。V6エンジンと3つのモーターを組み合わせたスポーツハイブリッドSH-AWDの駆動系は唯一無二のもので、アクセルを踏んでいくとコーナリングフォースが生まれるという独特のフィールは癖になるものだが、いずれにしても販売状況は芳しくない。
もっとも、レジェンドは2020年内に商品改良を実施して世界初の自動運転レベル3テクノロジーである『トラフィック・ジャム・パイロット』を搭載することが明らかになっている。テクノロジーフラッグシップというポジションを与えられているだけに、そう簡単に消えてしまうことはなさそうだが、だからといって安泰といえるほどの状況ではないのも、また事実だ。
2)ホンダS660
さて、ホンダのモデルでいえば生産終了の対象としてはノーマークだが、ミッドシップの軽スポーツ「S660」の未来も怪しい。なぜなら、S660は同じミッドシップ・レイアウトの軽トラック「アクティ」と同じホンダオートボディー(旧・八千代製作所・四日市製作所)で生産されているのだが、すでに2021年にアクティトラックが生産終了することは決まっているからだ。
そうなると、S660専用工場となるわけだが、ホンダオートボディーの規模を考えたときに、せいぜい月販300台程度のS660だけでビジネスが成立するとは考えづらい。かといって、ほかにミッドシップの新型車を開発するというのも考えられない。すなわち、S660はフェードアウトするように消えてしまう可能性がある。思えば、S660のデビューは2015年3月で、もうすぐ丸6年が経過する。そろそろ、そういう話が出てきてもおかしくないタイミングだ。