この記事をまとめると
■BMW X1はSUVシリーズのエントリーモデルだ
■現行モデルで2代目となる
■このクルマの詳細やグレードによる違いについて解説する
Xシリーズの末弟「BMW X1」
BMWのラインアップでXと名がつくのはSUV系のシリーズなのは御存知の通り。XシリーズはX5に端を発し、数字が大きくなるほどボディサイズは大きくなり、偶数モデルはスポーティーなクーペタイプとなります。
BMW X1はそんなXシリーズのエントリーモデル。現在でも人気が高いX1がどんなクルマかを探っていきましょう。
2代目となるBWM X1とは
現行モデルはX1としては2代目となり、FRだった先代からFFレイアウトへと生まれ変わりました。
プレミアムメーカーから発売されるコンパクトSUVはライバルがひしめく激戦区。そのなかでFRレイアウトを採用していた先代X1はひときわ個性が高く走りを重視するユーザーからの支持が高かった一方、室内空間の狭さが問題視されていました。現行モデルがFFへチェンジしたのは必然だったとも言えます。
現行モデルのボディサイズは全長4455mm、全幅1820mm、全高1610mm。ホイールベースが2670mm。
ライバルとなるメルセデス・ベンツGLAは全長4415mm、全幅1835mm、全高1620mm。ホイールベースは2730mm。アウディQ3は全長4495mm、全幅1840mm、全高1610mm、ホイールベースは2680mm。現行モデルはライバル車たちとほぼ同じボディサイズを有していることがわかります。
パワーユニットには2リッター直4ガソリンターボ、1.5リッター直3ガソリンターボ、2リッター直4ディーゼルターボと3種類のエンジンを用意(デビュー当時は出力が違う2リッターエンジンをラインアップ)。
トランスミッションは1.5リッターガソリンには7速DCT、それ以外のパワートレーンには8速ATが組み合わされます。
ドライビング・アシストをはじめストップ&ゴー機能付ACC、被害軽減ブレーキなど最低限必要な先進安全装備を備えていますが、メルセデス・ベンツGLAが備えているステアリングアシストを備えたACCなど最先端な機能は備わっておらず残念な部分といえるでしょう。
とはいえ、SUVに要求される室内空間が拡大し快適性を備えた現行モデルは、BMWのブランドイメージを備えていることもありプレミアムコンパクトSUVのなかでも高い人気を維持しています。
FF化によるメリット大! デメリットはあるか
2015年から国内販売が開始された現行型X1。先代モデルとなる初代X1から大きく変わったのが先ほども述べたように駆動方式です。
初代は当時のE91型3シリーズツーリングをベースにした後輪駆動を採用。FRベースのAWDとSUVとしては低い全高や走行性能などでスポーティーなイメージを全面に押し出していました。
一方、2代目となる現行モデルはFFプラットフォームを採用。居住スペースおよびラゲッジ容量はFFレイアウトを採用したことで大幅に拡大する恩恵を受けていますが、気になるのが走行性能。
ただ、BMWのコアバリュー「駆けぬける歓び」をFFベースで実現するためにステアリングの正確性、エンジンのパフォーマンスなどにこだわったことで初代より優れた性能を開発陣は達成しました。
先代のボディサイズは全長4505mm、全幅1800mm、全高1575mm。ホイールベースは2670mm。現行モデルは全幅と全高が拡大したものの全長はFF化したことにより50mmサイズダウンしていることがわかります。
しかし、パッケージングは大幅に向上。先代では狭いと指摘を受けた後席スペースは50〜65mmも拡大し、ラゲッジ容量は85Lも大きくなりました。アウトドアやレジャーを楽しむため5人乗車で目的地に向かう場合に荷物を満載できるようになりましたが、先代ではそれすら実現できていませんでした。
また、いまどきでは残念と述べた先進安全装備もデビュー時は誇れる部分でした。エントリーグレードであっても充実した装備を備えていることも先代から進化した点だと言えます。
気になるのはFF化による走行性能の劣化ですが、一般的な走行シーンで先代より劣ることを意識することはないでしょう。FFとなったため前後重量配分は50:50ではなくなりましたが、ステアリングフィールやハンドリングはXDriveの優れた制御も伴って、先代よりワインディングを楽しめるなど、走りの良さでも評判を呼びました。
結果的にFF化による恩恵は多大にあるものの、ネガな部分はない現行モデルは先代からSUVとして大きな進化を遂げたのです。
ガソリン&ディーゼルエンジンの違いを深堀り
現行モデルに搭載されるパワーユニットはいずれも新世代モジュラーエンジン。無段階可変バルブトロニックを備えた直噴システムにターボを組み合わせ低燃費と高い走行性能を両立させています。
3種類用意されるエンジンのうちもっともパワフルなのが20i M Sportなどに搭載されるB48A20A型2Lエンジン。最高出力192馬力(141kW)、最大トルク28.6kgm(280Nm)を発揮しBMWらしい走りが味わえます。ガソリンもうひとつのエンジンはB38A15A型1.5リッター直3。最高出力140馬力(103kW)、最大トルク22.4kgm(220Nm)。ターボチャージャーとエキゾーストマニフォールドを一体成形したことで素早い暖気性能を実現しました。
またディーゼルエンジンはB47C20B型2リッター直4で、最高出力150馬力(110kW)、最大トルク35.7kgm(350Nm)を発揮します。
2016年に追加されたこのディーゼルエンジンは従来型のエンジンと比べCO2排出量を5%削減するとともに燃費も低減。しかも最高出力や最大トルクはいずれも向上した新世代のクリーンディーゼルとなります。
パワーを向上させつつ環境性能を高めるためにエンジン起動直後の低回転域でも効率よく過給機の恩恵が受けられる2ステージターボを採用。ピストン・シリンダーの形状は、ディーゼルのネガとなるノイズを軽減するため、ピストン側が少し膨らんだ形状を採用し、シリンダー内の摩擦を大きく削減することを可能としました。
ガソリンエンジンとは燃料が違うのはもちろん、トルクが大きいことでとくに街乗りなどでの発進加速が優れていることを体感できます。
また燃費の面でもディーゼルエンジンがJC08モード燃費18.4km/L、WLTCモード15.3km/Lであるのに対して、1.5リッターガソリンエンジンがJC08モード燃費14.3km/L、WLTCモード13.0km/L、2リッターガソリンがWLTCモード11.4km/Lと大きなアドバンテージを得ています。
あえてディーゼルエンジンのあら探しをするならば、アイドリング時にカラカラとなるエンジンノイズ。逆に静粛性やエンジンフィールは大げさに言うとディーゼルと言われないかぎりはガソリン車との違いを感じません。
現行X1のベストモデルにディーゼルエンジン搭載グレードを推すメディア関係者が多いのですが、一度乗ると納得できるのではないでしょうか。