走りの質感は文句なしだが気になるポイントもある
さて、今回試乗した新型ソリオは、ソリオ、バンディットとともにマイルドハイブリッド仕様(165/65R15タイヤは同一/アルミホイールはデザイン違い)。スペックは1.2Lの4気筒エンジンが91馬力、118N・m、モーター3.1馬力、50N・mというもので、WLTCモード総合燃費で19.6km/L(FF)、JC08モードでは22.4km/L(FF)という好燃費性能を誇っている。ちなみにライバルのトヨタ・ルーミーは1Lの“3気筒”エンジンで、ターボでも98馬力、140N・m、WLTCモード総合燃費で16.8km/Lとなる。
ライバルとは違う電動車となる新型ソリオのマイルドハイブリッドモデルの走りは、出足&低速域では、微力ながらもモーターアシストが効いて、素晴らしく静かに、上質感たっぷりな滑らかさを維持したまま加速してくれる。もう、この時点で、クラス、価格を超えた満足感が得られる……と言っても過言ではない。
乗り心地はボディに剛性UPや操縦安定性の向上に直結する構造用接着剤を用い、先代ではフロントだけだったサスのウレタンブッシュを前後に奢ったほか、高応答タイプのダンパーを使い、リヤサスのストロークをUPするなどしたことで、環状骨格を持つハスラーほどでないにしても、じつにしなやかなで心地よいタッチを示してくれる(後席でも)。とくに、マンホールや段差越えでのショックのいなし方は、クラスを超えたものと言っていい。
また、ルーフに高減衰マスチックシーラーを使い、すべてのピラーに発泡剤=バッフルを充填、リヤフェンダー内にライニングを追加したことで、雨音やロードノイズを低減(ライバル圧倒のはず)。実際、車内の静粛性の高さはこのクラス・価格帯のコンパクトカーとは思えないレベルにある印象だ。これなら、前席シートのかけ心地の良さ、ACCの装備と合わせ、ロングドライブでのドライバーや乗員の快適度は、2ランクアップしていると思っていいだろう。軽く扱いやすく、穏やかな操縦性をもたらすスムースなステアリングフィール、エンジンとCVTの相性の良さがもたらす余裕ある動力性能とあいまって、市街地はもちろん、高速走行も、先代に増してストレス最小限でこなせる実力の持ち主になったわけだ。
ただし、ユーザーメリットが絶大な電子パーキングブレーキ未採用で渋滞時のACCに停止保持機能がなく(約2秒で停止解除)、それに伴う一時停止、料金所などで超便利なオートブレーキホールド機能は付かない。加えてスムースな減速やタイヤ&ブレーキの摩耗低減にも役立つパドルシフトが廃止されたのは残念だが、ドライバー側にオフセットされたセンターメーターや多彩なディスプレイの見やすさを含め、先代同様、誰にでも薦められる、とくに先進運転支援機能、安全装備、快適性、便利さを大きく進化させたコンパクトハイトワゴン、プチバンに仕上がっていた。
お薦めグレードは、後席に誰か乗る機会が多いなら(ペット含む)、室内全体にムラなくエアコンの風を届けてくれる(はず)スリムサーキュレーターが付くソリオHYBRID MZ、バンディットHYBRID MV(の2トーンカラー)となるだろう。夏の暑さのなかでは、その恩恵は絶大だ。めったに後席に人を乗せることはない、というなら、スリムサーキュレーターが付かないソリオMXでも満足度はなかなかだと思える(スズキ・セーフティサポート装着車に限る)。