気持ちいいハンドリング性能や先進安全装備は高評価だが……
SUBARUレヴォーグが2020~21年の日本カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。レヴォーグが選ばれた背景にあるのは、変わることのない実直な技術開発の姿勢だろう。
初代レヴォーグは、現行インプレッサが発売される直前に誕生した。したがって、インプレッサから導入されたSUBARUのグローバル・プラットフォームは使われていない。それでも、SUBARUらしい確かな操縦安定性と、大きすぎないステーションワゴンとして、米国向けのレガシィのあとを見事に受け継いだ。
今回、幸いなことに新旧レヴォーグを比較試乗する機会がSUBARUから与えられ、乗り比べると、運転感覚がまったく違っていた。新型レヴォーグは、ハンドルを切り込んでもわずかにしか車体が傾かず(ロールせず)、それでいて、違和感はなく、ハンドル操作に対し素直にカーブを曲がっていく。運転者も目線が余計に動かず、行く先をしっかりとらえていることができる。それでいて、乗り心地が硬いわけではなく、快適に長距離移動できるのである。静粛性にも優れる。
外観の造形も、Dynamic×Solidの概念を進化させたBOLDERデザインは、簡素な造形でありながら存在感があり、また速度感もあって、レガシィ伝来のツーリングワゴンというもち味がよく活かされている。
室内もメーターは見やすく、同時にプリウスPHVにも採用される縦長の大画面によってカーナビゲーションもわかりやすく、タッチパネル式の操作もしやすい。
運転支援のアイサイトはアイサイトXへ進化し、レベル2ではあるが、渋滞中のハンズフリーが実用化されたうえ、車線変更も自動で行えるようになり、いずれもその作動はじつに自然で、信頼感がある。人間の目と同じようにふたつのカメラで前方を見ているアイサイトらしい、安心があった。
多くの面で時代の先端を実用化しながら、それら一つひとつがSUBARUらしく実直につくられ、メーカーの方針である「安心と愉しさを」伝えてくるのである。