17の目標のなかにはモビリティと親和性の高いテーマもある
気候変動(地球温暖化)については、いまだに懐疑的な目でみている人は少なくないが、もはや世界的なコンセンサスになっている。つまりCO2の排出量を減らすことは自動車メーカーが存在し続けるために避けて通れない。そのためには“クリーンなエネルギー”を使った生産と走行を実現することが必要で、“つくる責任つかう責任”を考慮すると現時点では再生可能エネルギーによる発電とゼロエミッションビークル(BEV、FCV)に向かうという道筋を多くのメーカーがえがいている。
また“すべての人の健康”という点でいえば、事故を起こさないことも重要で、そのためには高度な自動運転の実用化が待たれるところだ。さらに“まちづくり”の観点からは無人運転の可能なモビリティが必要と考えられている。こうして技術革新によって自動車産業が持続することが、経済成長や働きがいにつながってくるというわけだ。
たとえば、トヨタが運行管理システムを含めた進化を発表した「e-Palette」などはまさしくSDGs的なモビリティのひとつの姿を示しているといえるだろう。もちろんクリーンエネルギーや気候変動への対策として燃料電池車「MIRAI」をさらに進化させてフルモデルチェンジするなど、トヨタは日本の自動車メーカーのなかでも、とくにSDGsに積極的に具体的な対応しているという印象がある。
もちろん、ホンダや日産といった国産大手メーカーも、交通事故ゼロに向けた運転支援システムの実用化を進めているのはご存じのとおり。2020年度内にホンダが世界ではじめてレベル3自動運転機能を搭載した量産車としてレジェンドを進化させるというのも、持続可能な世界につながるものだ。日産がゼロエミッションビークルとして電気自動車に注力しているのは周知の事実であるし、事故ゼロに向けたADASの開発に積極的なのも知られているところだ。
SDGsに掲げられたテーマに対応するだけでなく、自動車産業が持続していくためには従来型のビジネスモデルでは立ちいかなくなるのは自明。どれだけ変化していけるか、変化をいとわないというのはなく、変化を求めるくらいの姿勢でないと自動車メーカーは生き残っていけないだろう。