ブームはあくまでブーム! SUVが「美味しさ」を失ったあとに待ち受ける現実とは (2/2ページ)

SUVブームの次は何が来るのか

 さらにいえば、セダン、ワゴン、クーペなどは、海外市場を含めてブームを一度経験している。今後復活するとは考えにくい。その意味でもSUVは、クルマのカテゴリーではブームを経験したことのない「最後の楽園」だから、ロールスロイスのような場違いのブランドまで群がっている。

 SUVが廃れたら、もはや「美味しいカテゴリー」はない。実用的なコンパクトカーが地味に売れるだけだ。いかに長い間、美味しい蜜を吸い続けられるかが重要課題になっている。

 そこでフィット クロスターのようなライト感覚のSUVから、悪路向けのヘビーなジープ・ラングラーやランドローバー・ディフェンダー、豪華絢爛なロールスロイス・カリナンなど、多種多様のSUVが開発されている。今後も市場を開拓できる唯一のカテゴリーだから、車種が増えて売れ行きも伸びている。

 問題はSUVが廃れたあとの展開だ。もはや「美味しいカテゴリー」はなく、電気自動車が増えて自動運転も進み、小さな公共交通機関がネズミのように街なかを走り回る構図も考えられるが、ちょっと寂しい。SUVの次の一手を考えてみたい。自宅で過ごすお正月、クルマの将来に想いを馳せるのも楽しいでしょう。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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