日本はカスタマーサービスに対する意識が高い
一方で、クルマそのものに対するよりも、販売面で「日本人らしさ」を強く感じる。ときには少々大袈裟に思えるような、平身低頭での接客もあるが、それはそれでカーディーラーとしての”心遣い”である。
事前に予約していても、または”一言(いちげん)さん”としてぷらっと寄ったにしても、ディーラーの敷地内にクルマで入って間もなく、お出迎えしてくれる。そうしたことは、海外ではかなりの高級ブランドでならば”あり得る話”だが、日本では軽自動車の新車購入で訪れるディーラーでも、素早い対応と温かい来客姿勢を示してくれる。
むろん、店舗や担当営業マンによっても、サービスの程度に多少の差はある。だが、欧米や中国、東南アジアの平均的なカーディーラーに比べると、日本のディーラーは総じて、社員教育が行き届いており、カスタマーサービスに対する意識が高い。
こうしたディーラーサービスの在り方を、たとえばアメリカのスバルや、アメリカのマツダは近年、日本でのサービスモデルを基本としたディーラー改革を進めたことで、販売台数も上がり、またユーザーやメディアからブランド価値に対する評価が上がっている。
これから、クルマは通信によるコネクティビティや自動運転、または電動化など、商品としての差別化がさらに難しくなっていく。
そうしたなかで、クルマに対する「日本人らしさ」を引き続き感じ取れるのは、人と人とが触れ合うサービスの分野ではないだろうか。