ミッションオイルが冷えて固くなるとギヤが入りにくくなる
冬の寒い朝、人間だってベッドから出たくなくなるように、クルマもガレージから出たくなくなる。ガラスには霜が降りて、エンジンは冷え切ってなかなか水温が上がらないので、ヒーターから温風が出てくるまで時間がかかる。
そして極めつけがミッション。MT車でギヤチェンジしようとすると、いつもは素直にシフトチェンジできるのに、冷え込みが厳しいときは、シフトレバーを動かしてもギヤが入りづらいときがある。この原因はなんなのか。
それは一言でいうと、低温でミッションオイルが固くなっているため。
MT車のトランスミッションには3本のシャフトが通っていて、ひとつはクラッチからミッションケースにつながるインプットシャフト。もうひとつはミッションからプロペラシャフト、ドライブシャフト、デフにつながっているアウトプットシャフト。そしてインプットシャフトとアウトプットシャフトの間にあるカウンターシャフトという構成だ。
インプットシャフトとアウトプットシャフトは、カウンターシャフトを介してつながっていて、それぞれのギヤは常時噛み合っており(常時噛合式)、シフトレバーに連動して動くスリーブが入ったギヤだけ固定されて、アウトプットシャフトと接続される仕組みになっている。
逆にいえば、ニュートラル状態では、アウトプットシャフト側のギヤはつねに空転していて、アウトプットシャフトそのものは、走行中タイヤの回転に合わせて回っている。