2本のシャフトの回転差が大きくなるとギヤが入りにくくなる
一方、カウンターシャフトはクラッチがつながっているときは、エンジンの回転に合わせて回っているが、クラッチが切れると慣性だけで回ることになる。
このとき、ミッションオイルが冷えて固くなっていると、ミッションケース内を満たしているオイルの抵抗が大きく、カウンターシャフトが止まってしまう……。
その結果、カウンターシャフトとアウトプットシャフトの回転差が大きくなりすぎて、シンクロナイザーでも同調しきれなくなって、ギヤが入りにくくなるというわけだ。
標準的なミッションオイルは、75W-90の粘度だが、氷点下まで冷えたときなど、極端にいえば蜂蜜のような固い粘度に! 走り出して5~10分もすれば、油温も上がって普段の粘度に戻るので、シフトもスコスコ入るようになるが、オイルが温まるまでは、無理やりギヤを入れたりせずに、“ダブルクラッチ”などを駆使したほうが、ミッションには優しい。
ちなみにクルマが停止しているときは、ドライブシャフト・プロペラシャフトも止まっているので、ミッションのアウトプットシャフトもストップ。クラッチを切ればカウンターシャフトも止まるので、回転差は生じず、オイルが冷えていても停車時だと1速(とリバース)には難なく入る。
またミッションオイルが温まらないということは、水温もエンジンの油温も、タイヤもブレーキもベアリングもダンパーもブッシュ類も全部冷えたままでもあるので、真冬はエンジンをかけたらすぐにクルマを動かして、ゆっくり丁寧に走りながら、各部のウォームアップをしてあげよう(停止したままアイドリングで暖機運転を続けるのは無意味で不要)。