カーボンニュートラルの影に潜む問題! CO2排出量の「売買」も可能な「クレジット制度」って何? (2/2ページ)

CO2排出の超過達成量は売買することが可能!

 こうしたCO2削減量を数値化したものが、クレジットである。国は、このクレジットを「基準の超過達成量」と翻訳している。クレジットの取り扱いは国や地域によって異なる。

 たとえば、アメリカや中国では、クレジットを後年に繰り越しすることができるし、欧州では複数の企業がクレジットを共同でプーリング(保管)することで目標達成を可能としている。

 さらに、このクレジットはトレード(売買)もできる。つまり、基準達成が難しい企業でも商取引によって基準を達成してしまうことになる。

 実例としては、アメリカ・カリフォルニア州のZEV法(ゼロ・エミッション・ヴィークル規制法)において、2000年代後半からホンダがテスラからクレジットを購入している。

 当時、テスラはまだ販売台数が少なく、ZEV法に従わなければならない最低販売台数を満たしていなかった。一方で、ホンダが当初予定していた「FCXクラリティ」の販売計画を変更するなどしたため、基準に満たない分のクレジットをテスラから購入した。

 当時、テスラ幹部は筆者の質問に対して「あれは、かなり”よい金額”で売れた」と笑みを浮かべていた。

 今後、2030年代に向けて日本でも規制の厳しさが増す、クルマの電動化。CO2排出量のたんなる”数合わせ”ではなく、真の意味で地球環境に貢献する道を進んでほしいと思う。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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