RRは小回りだけでなく走りも楽しい!
その秘密は、RRの構造上の特徴にあります。クルマの構造上、もっとも大きく重いものはエンジンとトランスミッションということになりますが、FFの場合は車体前方のボンネット下に収まっているものですね。RRはエンジンが後輪の車軸の真上もしくは後ろに置かれていて、クルマの前方から大きなものをどかしたことで、ハンドルを切った時の前輪の切れ角もたっぷりと余裕を持って取ることができます。
一般的なFFの乗用車は前輪の切れ角が30〜35度くらいと言われていますが、なんとトゥインゴは49度。これはトラック並みにタイヤがグイッと曲がるということです。しかも、重いエンジンが後ろにあるので、前輪にかかる重量が軽くなる、つまりハンドル操作が軽いというのもメリットでしょう。
その昔、1960〜1970年代のコンパクトカーにはRRが多く採用されていたのですが、その背景は当時まだパワーステアリングが装備されていなかったため、ハンドル操作を少しでも軽くするためや、構造がシンプルで低コストの生産ができ、完成車の整備性もRRの方が良かったから、という理由があったようです。
さらにRRの特徴として、加速力が強いことと、ブレーキ性能がいいというメリットもあります。これは、クルマは加速するときにどうしても後ろに荷重がかかるものですが、エンジンの重量のおかげで後輪が地面にしっかりと接地し、空転しにくくなるので加速力が発揮しやすいこと。そして、ブレーキを踏むと今度はクルマの前方に荷重がかかりますが、この時は重いエンジンが後ろでバランスをとってくれるため、前のめりになりすぎないことでブレーキ性能を大いに発揮できるのです。
こうした理由から、RRのコンパクトカーは小回りがきくだけでなく、トゥインゴのように0.9リッターという小排気量エンジンでも、びっくりするほどパワフルに感じられ、ロケットのような加速が何度でも味わえるような、乗って楽しいクルマになっています。Honda eの場合は電気でモーターを動かして走りますから、まさにアクセルを踏んだ瞬間にフルトルク加速を得ることも可能。これはもう、病みつきになる楽しさです。
狭い曲がり角やUターン、バックでの車庫入れもスイスイとラクで、運転の楽しさまで手にはいるRRコンパクトカー。ぜひ一度、体験してみてほしいと思います。